ぼくは、某ショッピングモールにある雑貨屋さんの、柱に併設された什器の下から2段目、向かって一番右にいる、一般的に呼ばれるヌイグルミ。
白と黒が特徴の、手触りもちもちなパンダだ。
生まれてすぐこのお店にきて、きれいなお姉さんに他の仲間と一緒に並べられ、毎日15時間くらいジッとしている。
……「ジッとしている」って言うくらいだから動くヌイグルミなんだと思うかもしれないけど、ぼくは自分から動くことはできない。
ただ、仲間と一緒に目の前の風景が変わっていくのを見ているだけの毎日。
あ、でも。
さっきなんかは、ふっくらもちもちな頬っぺたをした子が、ぼくらを上から押しては嬉しそうにして去っていったり。
カートに引っ掛けてある袋が当たって仲間がころころと落ちてったり。
そうすると、エプロンをつけたお姉さんが助けてくれて、元のところへもどしてくれる。
こんなことはちょくちょくある。
ぼくらは「商品」。
丸い体、可愛く作られた顔、ふわふわもちもちなパンダのヌイグルミ。
ぼくらは、この可愛さをアピールして、たくさんのヒトに気に入られて、早くココから去らないといけないんだ。
昨日は仲間がふたりココを去っていった。
すごいなぁ、ぼくも早くココを出たいなぁ。
毎日15時間くらいは、風景も変わるしヒトが来たらアピールもできるんだけど、他の時間は真っ暗だから好きじゃないし、退屈…。
みんなとおしゃべりも楽しいけど、話題も尽きるんだよねぇ。
今頃、去っていったふたりはどうしているのだろう。
もちふわボディでヒトをめろめろにしているんだろうか。
それとも、エアコンのきいた部屋のソファーの上で、ころころしているんだろうか。
ココを出たら、なにがあるんだろうなー。
「お疲れ様でしたー!」
「お疲れ~」
この声が聞こえるとぼくの好きじゃない時間がくる。
ーーーーあ、真っ暗になった。
なんにも変わらない、真っ暗な時間。
つまんないなぁ。
こんな毎日だったんだけど。
ある日、「めん」に出会った。