夫が謝罪に来るという日の数日前。

「母が(私両親への)謝罪についてくると言ってきかない」

「俺の問題だからと言っているのに自分も謝罪しなきゃいけないと言ってきかない」

困っている様子でした。

「真っ当だと思います」

いつまでもグダグダ反省しないお前より幾分ましだ。

60代の母親が、40代息子の不始末を直に謝罪するという情けなさははかり知れません。
どう育てれば夫のような、誠意の「せ」の字も知らないような大人が出来上がるのでしょうか。逆に知りたい。


そして謝罪の日当日。

私の両親は至って普段通り。
あからさまに怒っているという雰囲気ではなく静かに時を待っておりました。

夫姑来訪、居間に通るや否や、その場で跪き。

「この度は、モカさんやご両親に大変なご迷惑をおかけして申し訳ありませんでした」

泣きそうな声で頭を伏す姑。

「申し訳ありませんでした」

姑の隣で同様に頭を下げる夫。
声が小さい。

少し間があり、父が話し出しました。

「まあ、今回の事を(私から)大まかに聞いたけれども、夫婦は本当に何があるかわからないもんで、俺らも長く連れ添ってはいるけどこの先はわからないというのが互いの気持ち。これまで何もなく平坦にきたわけでもないし。夫婦ってそういうもんだと思うから。君達もこの先の方が長いし今回の事は謝罪に来られたという事で、一区切りで良いのではと俺としてはそう思う」

色々と話しは長かった父ですが、要約するとこのような話を夫姑に向けておりました。

そして涙を流す姑。

こんな夫を掴まされて私が泣きたいんですけど…。

夫は終始神妙な顔で自ら何かを説明するでもなく黙ったまま。

「それで、夫くんからは何かないのかな?」

父が夫に振る。

「前の嫁の子供については相続放棄をしてもらう旨の連絡を相手方にして、自分は遺言書も書きます」

と言ったところで口を挟み出した姑。

「いやぁ…相続って、前の嫁が子供を連れて出てくるなんて事はないと思います」

どういう事だい?w

「お義母さん、夫さんが亡くなった時に、夫さんの全子供に連絡をしなければならなくなる事はわかっているとは思います。夫さんに借金しかない場合も考えられますが、万が一子供同士、子供が未成年だったら元嫁同士が揉めないようにする今出来る限りの措置を取ろうという話なんです」

私が説明をしました。
夫が亡くなると、夫の全口座が即座に凍結します。
その凍結解除に遺産相続人全ての印鑑が必要になります。
夫の場合、過去の戸籍上に載っている子供全員の印鑑が必要になります。
その際、相続放棄をされなければ法に則った分配をする必要が出てきます。
夫が言う相続放棄は上記の予測上の話になります。

私には保険程度にしかならない物だと思うし、そもそも前夫人サイドが納得するかもわからない、むしろ揉めるかもしれない、そんな物を作成したって遺留分というシステムもあるのだから効力としてはさほど頼りにならない気もしていました。
が、夫がそうすると言ってきかないのでそのような流れになりました。

「いやぁ…でも(前夫人が)出てくる事はないと思いますけどね」と姑。

「絶対とは言い切れないからやるんだってば」と若干イラつく夫。

この姑は一体何を知っているのでしょうね。
粗方、前夫人との離婚経緯を偽って姑に伝えているんだろうなとは思いました。


夫姑、土下座デー②に続きます。