かつて
昭和の成長経済の波にのって
考えられないくらいに大もうけした老経営者が、
イキオイで取り敢えず始めてしまった
とあるオヤジベンチャー企業。
掲げたテーマと理想は壮大だが、
そんなのは、
金持ち老人の引退間際の「趣味」でしょう、
と揶揄されることだってある。
チキショー、今に見ていろヨ。
最近の、若さだけが自慢の、
勘違いベンチャー野郎どもには負けないゾ。
よ~し、掛け声いっちょう、気合を入れよう。
エイッ、エイッ、ゴホゴホ。
で、実際どうか。
コンセプトだけが先走りして、
着実にゴールに近づける動きをしているヒトは一人もおらず、
自由・自主性という名の下に、
経営判断も決断もマネジメントも放棄が基本。
社員はみな進むべき方向を見失い、
無計画な採用で迷える社員ばかりがどんどん増え、
まともな仕事はなく社内浪人の溜まり場と化し、
モチベーションは砂にめり込み、
経験もノウハウも溜まらず、ストレスだけが溜まる。
赤字拡大はどんどん加速し、
たんまりあった事業資金もいずれ底をつく時が見えてきたが、
それでも出口は一向に見えない。
出口のない暗がりの中、
手探りで前へ進むこともせず、
もがくこともせず、
ただじっとうずくまって
悟りの境地が到来するのを待つ。
悟りだ。
悟りなのだ。
吾に光を。。。
そして、今日、8月15日。
突然の社内放送。
耐え難きを耐え、忍び難きを忍び・・・
ついに解散。
あ、これ、
フィクションです。