「運命の少女って信じるか?」

急にバルダックが問いかける。この森に来る前、更に2日ほど前にバルダックの講義を受けていた。

「歴史上で魔法を使った最初の人物…だっけ?」

「そう、それだ。」

「でもそれってただの伝説じゃなかったっけ?」

「甘いな。少なくとも俺と、俺の師匠はその説は正しいと信じている。」

「マジで?」

「大マジ。ちょっと魔技も教えるから、公園に行こうぜ?」


ドリーとバルダックは公園に着いた。ブランコで子供が遊んでいた。

「運命の少女っつーのは、最初は魔法を使うのが上手くいかなくて、魔力の暴発をよく起こしてたんだ。」

気づくとバルダックの体が光かり始めている。

「サクレツ!」

バルダックがそう叫んだ瞬間、体の至るところから魔力が放出された。ドリーの横をぶわっと強い風が通りすぎる。

「こんな感じだ。なんつーか、今のはわざと属性をつけないでやったんだけど、運命の少女は属性とかそういうのが分かんなかったんだな。」

「属性をつけるとどうなるの?」

「ここから半径20メートルは焼け野原…かな。」

「そんな危ない魔法教えようとしてるのかよ!!」

「まぁお前にはそういう制御はまだ早いから、ちょっとした護身用に使える程度のものを教えてやるよ。」


ドリーは現実に戻される。目の前にジャコウが迫ってくる。一歩一歩。先ほどの動きを見る限り、逃げても捕まえられるだろう。かつ、腰が抜けて動けない。

「観念したのか?まぁいい…」

ジャコウが腰につけた短剣を抜く。ええとあの魔技は…。

爆発?暴走?属性?光?

…光?光!!

「ん?」

ジャコウは異変に気づいたのか、手を止める。

ドリーの体は光り始める。

魔力を放出する際、光など、害の無い属性を付加したらどうなるか?

「この魔技を使えば、大抵のやつは動けなくなるぞ。」

バルダックがそういってたのを思い出した。

「フラッシュ!!」

光が爆発したようにドリーの体からあふれ出す。その光は森一帯を白くした。すべてが白く見える。