iPhoneへの思いを語る孫氏、CDMA版との違いも紹介

 緊急会見となった今回、壇上に立った孫氏は、前日に発表された米アップル会長のスティーブ・ジョブズ氏の死去について触れ、「いかに大きな存在だたか、胸にぽっかりと穴が開いた」と心情を吐露。その報に触れた後、いったんは「iPhone 4S」の予約開始時期を延期すべきでは、と考えつつも、アップル側から「スティーブ(ジョブズ氏)は一日でも早くユーザーの手に渡ることを望んでいるのではないか」と指摘され予定通りにしたこと、また互いの自宅を訪れる仲であったことなどが紹介された。

 iPhoneは単なる製品ではなく、スティーブ・ジョブズ氏による芸術品と思える、と思い入れを語った孫氏に続き、ソフトバンクモバイルCTOの宮川潤一氏が登壇し、iPhoneのW-CDMA版とCDMA版の違いを紹介した。宮川氏は、ソフトバンクのネットワークは下り最大14.4Mbpsであること、対するCDMA版iPhoneが利用できるauのネットワークは下り最大3.1Mbpsであることを示し、「ソフトバンクのほうがダウンロード速度が約5倍(4.6倍)なる」とコメント。 


さらに宮川氏は最大のポイントとして、CDMA版iPhoneでは、その仕様上、音声通話と同時にデータ通信ができないことを指摘。その具体的な利用シーンとして、「アプリダウンロード中の着信」「通話中のメール受信」などを紹介。たとえばオンラインゲームで他のユーザーと対戦中に電話がかかってくると、W-CDMA版iPhoneではいったん通話してもゲームのセッションは保たれ、通信し続けているが、CDMA版iPhoneではいったんゲームから退席することになり、利便性が損なわれるとして、au版とソフトバンク版を比較し、同じiPhoneでも使い勝手の差があることを示唆した。なお、KDDIによれば、音声通話と同時に3G網によるパケット通信はできないとのことだが、Wi-Fi経由での通信は可能とのこと。 


W-CDMA版iPhoneのほうが利便性が高い、といったアピールを行った宮川氏は、「ソフトバンクは繋がりにくい」とTwitterなどでユーザーが多くの指摘を受け、改善を進めていることをあらためて紹介した。ここで宮川氏はこの10月に行った「接続率調査」の結果を示す。“接続率”は、複数回電話をかけて繋がった回数を元に算出されたもので、どの程度繋がりやすいかという目安として用いられたこの調査では、NTTドコモとauが97%、ソフトバンクモバイルは96%で「競合2社のおしりがちょっと見えてきた。もう少しで背中に触れるのではないかと言うところまで来た。まだまだだと思うが、ドコモ並の接続率にこだわって、当社の技術陣が一生懸命やっている」と」(宮川氏)と徐々に改善しているとする。自宅での繋がりやすさを示すという「自宅非圏外率」も示され、他社並になった、という調査データも示されたほか、Wi-Fiアクセスポイントが10万ポイントになったことにも触れた。 

今後の電波環境の改善に向けて「今後2年間での1兆円の設備投資」「900MHz帯の獲得」が挙げられた。前者は、決算会見などで幾度か紹介されたもので、2011年度と2012年度の2年間で設備投資を大々的に行う方針のことで、後者は総務省が進める周波数帯の割当予定に関するもの。宮川氏は「ソフトバンクも900MHz帯をいただければ他社以上のインフラを作ってみせる。この宣言をもとに、皆様の『当然だよね』という声を高めていただければと思う」とした。 

 

 質疑応答

 プレゼンテーション後の質疑応答では、7日16時からの予約開始ながら、発表が同日正午過ぎと直前になり、「遅れた理由は?」と問われると「遅れたというか、もともとこの時間にやろうと思っていた。ギリギリでも(調整を続けて)1人でも多くの人に提供したいと考えた」と説明した。当日販売については、過去のiPhone販売時に若干数が用意されたものの、予約したほうが確実な入手に繋がる、と孫氏は説明。ただし今回の販売で当日販売が行われるかどうかは検討中という。

 通信速度について、孫氏は「有線はそれぞれのユーザーに回線が割り当てられるが、無線は大勢で分け合う形」と述べ、環境によって通信速度は異なるものとの見解を示しつつ、「今までより(通信速度の向上という)恩恵が受けられる場所は増えると思う」と、iPhone 4Sでは通信環境の改善が見込めるとした。

 CDMA版との違いが紹介された今回の発表会だが、KDDIがiPhoneを取り扱う影響に関して、孫氏は「情報革命という面では、KDDIも同じ志を共有する集団。スティーブ(ジョブズ氏)の作品を1人でも多くの人に届けたいが、我々にも至らないところがある。一緒になって多くの人に届けられるのは素晴らしいこと。我々の至らない点は、精一杯努力して頑張らなければいけない」とした。

 9月下旬にAndroidスマートフォンがラインナップのほとんどを占める新機種群を発表したばかりとあって、iPhoneとの兼ねあいについては「さまざまな技術の革新が生まれるという面で、健全な競争が重要」として、Androidにも注力するとした。

 SIMロックに関しては「iPhoneのSIMロックは我々がかけているのではない。iPhoneにはSIMロックの解除、設定の機能はあるが、それはアップルが営業方針としてコントロールしていること」として、同社の管理する範囲に含まれないとした。