【気になるECO新聞】欧州、したたかな環境戦略。[日経産業新聞/20100409] | 室伏善夫のスマートフォンする社長ブログ

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$五つ星ホテルに起業した社長ブログ-コペンハーゲン合意に従い提出された中期目標
【コペンハーゲン合意に従い提出された中期目標】

昨年2009年暮れのコペンハーゲンでの第15回国連気候変動枠組み
条約締約国会議(COP15)は、京都議定書に続く新たな議定書を
採択できませんでした。

今年2010年に入って、欧州委員会は、「欧州連合(EU)としては、
本年末に、メキシコで開催予定の第16回締約国会議で、法的拘束力
のある国際合意を成立させる用意があります。

合意達成が2011年まで伸びる可能性があると発言したことなどを
受けて、気候変動に対する国際合意作りに積極的だった欧州で
さえ、熱意を減じているのではという観測が出ています。

しかし、欧州が、気候変動対策の優先順位を変更したのかと
いえば、それは、正解ではありません。

3月3日、欧州委員会は、経済危機を脱して、次の10年に備えて
欧州経済を立て直すことを目的とした「欧州2020戦略」を
発表しました。

そこで、
「スマートな成長(知識とイノベーションにもとづいた経済の開発)」
「包括的な成長(社会的・地域一体性を実現できる高雇用経済の育成)」
「持続可能な成長(資源効率に優れた競争力ある低炭素経済を推進)」
が、3大柱のひとつに掲げられました。

向こう10年の新成長戦略でも、環境対策で世界のトップを走り、
それを競争力に結び付けていくという欧州の戦略は、依然、
堅持されています。

3月9日には、欧州委員会が、
「気候変動に対する国際的な取り組みの再活性化戦略」
と題して、政策文書を公表しました。

ここでは、4月に再開される国連の交渉プロセスの行程表
(ロードマップ)が提案されていて、すべての国が実施的な
気候変動対策を行うような、力強くかつ法的拘束力のある
国際合意を引き続き求めていくとしています。

3月26日、欧州委員会は、温暖化ガス排出量を1990年の水準に
比べて、20%削減すること、最終的エネルギー消費における
再生可能エネルギーの割合を20%に引き上げること、
エネルギー効率の20%向上を目指すことに関する目標に合意
しました。

これは、「20/20/20目標」と呼ばれるもので、
「欧州2020戦略」でも、あるべき姿を示して、
進捗を測るための中目標として、盛り込まれています。

EUは、12年以降の世界的かつ包括的合意に関する条件を
付した公約として、他の先進国が同等の排出量削減努力を
約束しました。

途上国が自国の責任と各々の能力に応じて、適切な貢献を
する場合には、90年の水準に比して、30%削減にまで
引き上げる決定を行う意思であることを改めて強調しています。

また、3月31日に公表された欧州委員会の今年2010年の
行動計画では、企業の社会的責任に関する新しい政策文書
を発表する予定が盛り込まれました。

その主要な内容は、環境、社会、ガバナンスの側面に
関する企業の情報開示のあり方だと伝えています。

欧州は、取り込みの熱意を減じているのではなく、
戦略をしたたかに再構築していると見れます。

「90年比マイナス25%」を目標にして、
グリーン・イノベーションによる環境・新エネルギー大国への
戦略を柱にしようと、政府が揚げる日本にとって、欧州との
対話の機会が、これまで以上に重要になってきます。