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モバイルニュース 【解説】iCloudについて知っておくべき3つのこと

 無料クラウド・サービス「iCloud」を6月6日に発表した米国Apple。同社はこの新しい「MobileMe」を広く普及させたいと考えている。

 Apple CEOのスティーブ・ジョブズ(Steve Jobs)氏は、同日開幕した「Worldwide Developers Conference(WWDC)」の基調講演で、同社が提供してきた有料オンライン・メディア・ストレージ・サービスである「MobileMe」は、同社の最高のサービスではなかったと認めた。しかし同氏は、Appleの新しいiCloudサービスは、これまでの不備を補って余りあるものになると宣言した。

 iCloudは、ドキュメント、画像、音楽などをクラウドに保存するとともに、iCloudを利用するすべてのデバイスに自動的にプッシュ配信するサービス。今秋から正式に開始される予定だ。このサービスが消費者と企業にとってどのような意味を持つかを理解する助けになるように、以下では、iCloudについて知っておくべき3つの重要なポイントを挙げる。

1. iCloudは、MobileMeの効果的な代替サービスであり、より充実した機能を提供する

 MobileMeは、ユーザーの連絡先、カレンダー、電子メールを複数のデバイス間で同期するサブスクリプション・ベースのサービスだった。Appleはこれらの機能をすべてiCloudに統合し、無料で提供する。さらに、同社はこれら以外にも、多くの機能をiCloudに盛り込んでいる。例えば、次のような機能が用意されている。

iCloud Storage メール、ドキュメントの保管、バックアップに利用できる最大5GBの無料ストレージを提供する。また、ユーザーがドキュメントを更新または変更すると、ユーザーがそのドキュメントを保存している他のすべてのデバイスに、更新/変更内容を自動的にプッシュ配信する。例えば、Mac上でiCloudドキュメントを変更して保存すると、変更内容が自動的にiPadに同期される。Appleは、「ユーザーはストレージを追加購入することもできる」としているが、料金などの詳細は、今秋に予定されるiCloudのリリース時に発表されることになっている。

iCloud Photo Stream ユーザーが携帯電話やタブレットで撮影した写真を、ユーザーの他のすべてのデバイスにワイヤレスにプッシュ配信する。Appleは、iCloudはそれぞれの写真をクラウド上に30日間保管するが、これは、「使用中のデバイスをiCloudに接続し、Photo Streamを通じてWi-Fi経由で、自動的に最新の写真をダウンロードするのに十分な時間」だと述べている。

iTunes in the Cloud ユーザーは、過去にiTunes Storeで購入したすべての音楽を、自分のすべてのiOSデバイスにダウンロードでき、新たにiTunes Storeで購入する音楽も、自分のすべてのデバイスにダウンロードできる。また、AppleはiTunes Matchというサービスも提供する。このサービスは、ユーザーのiTunesライブラリをスキャンし、ユーザーがiTunes Store以外で入手した音楽が、iTunes Storeで提供中の1,800万以上の楽曲と合致する場合には、256kbps AAC DRMフリー・バージョンと差し替える。ユーザーはこのバージョンを、iTunes in the Cloudと同様にクラウドからダウンロードできる(iTunes Storeで提供中の楽曲と合致しない音楽のみが、クラウドにアップロードされる)。ただし、iTunes Matchは他のiCloudサービスとは異なり、有料だ。料金は年間24.99ドルとされている。

2. iCloudは企業にインパクトを与える。備える必要あり

 上で説明した機能のほとんどは、企業市場向けではなく消費者市場向けだ。しかし、ここ数年来の傾向だが、モバイル・デバイスを個人で使っている人は、自分のiPhoneやDroid、Evo、あるいはBlackBerryで、仕事用の電子メールやデータにもアクセスしたいと考える。それが可能な人も少なくない。このため、IT担当者にとっては、企業の機密データがクラウドにアップロードされるのを防ぐ方法を見いだすべきときが来ている。例えば、エンジニアのジミーが子どもの卒業写真をiCloudにアップロードするつもりで、会社の新製品のプロトタイプの写真も誤ってアップロードするといったことが起こりうる。ハッカーがジミーのiCloudアカウントにアクセスすることに成功すれば、厄介な事態になる。

 「人々がいろいろなものをクラウドにアップロードするようになる中で、重大なセキュリティ問題が発生するのは間違いない」と、米国Nemertes Researchのアナリスト、アンドリアス・アントノプロス(Andreas Antonopoulos)氏は指摘する。「Googleが今月初め、米国政府高官などのGmailアカウントを狙った中国発の攻撃が発見されたと報告したのは、その一例だ。こうした人々が、なぜGoogleのメール・サービスを使っていたのか理解に苦しむ。安全なBlackBerryを支給されているというのに」

 言い換えれば、IT部門は、企業の機密の文書や画像がiCloud経由で同期されないようにする方法を見つけなければならない。

3. Appleのエコシステムが一段と拡大する

 Appleの以前からの目標は、「音楽を聴く」「映像を観る」「Webを閲覧する」「電話をかける」など、すべてのパーソナルおよびホーム・エンターテインメント・アプリケーションのハブとして、コンピュータが使われるようにすることだった。Appleは、同社のノートPCやデスクトップPCを補完するアドオンとなるiTunes、iPod、iPhone、iPadといった人気製品を生み出し、事業を多角化することに成功してきた。英国Informa Telecoms and Mediaのシニア・アナリスト、ジャイルズ・コトル(Giles Cottle)氏は、Appleが、Googleのような企業のオープンソース哲学に背を向けながらも、成功を収めてきたことに注意を促す。Googleのモバイル・プラットフォーム「Android」は、デバイス・メーカーがさまざまなデバイスに合わせて改変できるようになっている。

 「ジョブズ氏は声明で、iCloudは、『ただただ、うまくいくようにできている』と述べているが、実際、Appleがデバイス・エコシステムをしっかりコントロールしているおかげで、iCloudは、『うまくいく』可能性が非常に高い」と、コトル氏は述べている。「Appleがデバイスとコンテンツのエコシステムを全面的にコントロールしていることは、これまで盛んに批判されてきた。しかし、今日のデモのように、iCloudが実際にうまくいけば、クローズド・エコシステムの力の見事な証明になる」

 一方、米国Forester Researchのアナリスト、フランク・ジレット(Frank Gillett)氏は、iPodによってポータブル・デジタル音楽が消費者に定着したのと同じように、Appleが消費者の間で強く支持されていることを背景に、クラウド・コンピューティングが消費者に定着するだろうと見ている。さらに同氏は、Appleの潜在的ライバルは、キャッチアップに苦労するだろうとも考えている。

 「iCloud、Mac OS X Lion、iOS 5という3本柱により、Appleはパーソナル・クラウドの実装とビジョンを先頭に立って切り開いている。そして同社は、ユーザーのMac、Windows PC、iPhone、iPadを幅広くサポートし、iCloudと連携する製品を作るサードパーティ開発者を手厚くサポートしている」と、ジレット氏は述べている。「Googleは、2番手のプレーヤーとして注目に値する。Chromeブラウザから利用できるアプリケーションの拡充を図っているが、同社がAppleに対抗するのは大変だろう。また、Microsoftはパーソナル・クラウドに関する明確なビジョンを持っておらず、Windows 8が登場するのは2012年のいずれかの時点だ。同社は大きく出遅れている。つまり、Appleのデバイスとクラウド・サービスのエコシステムが、まだまだ勢いを増すことになる」

(Brad Reed/Network World米国版)



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