モバイルニュース “シーソーゲーム”にならないクライアント活用の道 | 【モバイル】携帯電話の最新情報

モバイルニュース “シーソーゲーム”にならないクライアント活用の道

 今、企業では従業員の業務効率や生産性を高める手段として、コンシューマー市場で人気のスマートフォンやタブレット端末の導入に注目するところが増えている。また、夏場の節電に向けて在宅勤務を検討している企業も多い。企業のクライアント環境は、“モビリティー”をキーワードに大きく変わると予想されるが、受け入れを担う現場では課題が山積みとなっている。

 IDC Japanの調査によると、オフィス以外の場所で業務に利用されるモバイルPCは、2010年度では前年度より40万台多い約454万台だったが、2011年度は47万台増の約497万台になると予想される。スマートフォン(法人契約数ベース)は2010年度の約65万台から2011年度は約134万台に、タブレット端末も約4万800台から約11万5000台にそれぞれ増えるとみられる。

 しかし、PC,携帯端末&クライアントソリューション グループマネージャーの片山雅弘氏は、「モバイル環境の導入では、現場での検討から課題が表面化して進まない場合や、逆に“見切り発車”するケースが多い」と話す。モバイル活用を組織的に進めているのは、先進的な大企業とベンチャー企業に大別されるといい、ベンチャー企業ではセキュリティ対策を後回しにしてしまうところが少なくない。

●セキュリティと利便性のシーソーゲーム

 モバイル機器など新しいクライアント環境の活用することで得られるメリットが利便性だ。だが目的を達成するには、当然ながら新たな投資を必要とする。片山氏が指摘する「課題が表面化して進まない」というのは、検討を進めていく中で当初に想定したよりも投資規模が膨らみ、期待通りの成果を見込みづらいというケースである。セキュリティ対策をはじめとする環境整備のコストと、利便性などの得られるであろうメリットとのバランスをどのように図るかが最大の課題だ。

 例えば、スマートフォンやタブレット端末を一般的な携帯電話の延長線にあるものととらえ、少ない投資でPCのように業務ができるだろうと期待してしまう。だが、実際にスマートフォンやタブレット端末をPC並みに活用しようとすれば、盗難や紛失、不正プログラムなどのリスクに備えるセキュリティ対策が求められ、スマートフォンやタブレット端末に適した業務システムの整備も必要になる。

 「見込んだ以上のコストが発生し、それに見合う生産性の向上や業績拡大を実現できるかが不透明になり、現場のIT部門では導入を推進する組織のトップにうまく説明できないという悩みを抱えている」(片山氏)

 モバイル機器を組織として活用していくには、PCと同様にモバイル機器を自社の資産として運用管理していくことが求められる。大企業では資金力を生かし、ある程度のコストを掛けてでも新しい環境に必要なセキュリティ対策を講じられる。しかし、資金力に限界があるベンチャー企業では目的の達成を優先させざるを得ない場合もあり、ユーザーがセキュリティに気を付けながら利用するといった見切り発車の対策で導入を進めてしまう。

 さらに、規模に関係なく、組織として新しいクライアント環境の活用を考えるよりも先に、個人所有の機器を社内システムに接続して利用してしまうケースも多い。組織としての管理体制が十分でなければ、情報漏えいや不正アクセスなどのセキュリティ問題が発生するリスクが高まる。万が一の際に適切な対応が取れないことも懸念される。ここでもセキュリティ対策が後回しにされがちにされ、「管理責任の範囲が不明瞭であるなど、“グレーゾーン”を抱えたまま運用している」と片山氏は指摘する。

●スタートは現状の最適化から

 なるべく少ないコストで最大の効果を得たいというのは、どんな企業に共通する考え方である。例えば在宅勤務制度を早急に導入しようと、既存のPCに簡単なセキュリティ対策を追加したとしよう。片山氏が以前にヒアリングしたある組織ではスペックの古いPCに重いセキュリティ対策ソフトという組み合わせで、PCの起動に30分もかかっていたという。そのような環境で生産性を高められるだろうか。

 導入済みのセキュリティ対策について再チェックしていないという企業が少なくない。そのような企業が新しい環境の導入で求める効果を得るには、現状の環境が本当に適切であるかを再確認することが大切だ。運用に慣れているという理由で古いままの対策に執着していては、対応は難しくなるばかりである。

 新規の取り組みに必要なコストを抑えるには、まず現在の環境の維持に必要なコストに注目する。特に多くの従業員が業務で利用するクライアントやサーバなどのエンドポイント環境では、既存の対策と同等のセキュリティレベルでコストを抑制できる製品やサービスの活用を検討したい。また運用管理や資産管理の面では、現状より運用の負荷を下げられ、既存環境に組み込みやすい統合管理ツールなどの導入も考慮する。

 現在発生しているコストや担当者の負担を下げることで、新しい環境の導入に必要なコストを抑えるというアプローチである。片山氏は、「一般的にセキュリティのコストと効果は評価しづらいものだが、新規投資で見込む効果と一体で評価できるようにすることが大事だ」とアドバイスしている。

●新しい環境への準備

 前述したようにモバイル機器を活用しているところでは、モバイル機器の特徴を十分に把握し、万が一のセキュリティ問題にもある程度対応できるリテラシーを持った人材が主役となっている場合が多い。しかし新しいクライアント環境を組織全体に広げていこうとすれば、どのような従業員でも利用できる体制を準備しなければならない。

 例えばPCはIT部門が管理し、携帯電話は総務部が管理するように管理体制が分かれている企業が多い。スマートフォンやタブレット端末の導入では、実際に管理を受け持つ部門にPCや携帯電話の管理に必要な知識やノウハウを一元化する必要がある。

 また個人所有の端末を認める場合は、利用に伴う責任範囲を明確にする。利用ルールやポリシーのほか、情報漏えいなどのトラブルが起きた場合に対応手順を整備すると同時に、責任区分に応じた技術的対策の導入も求められるだろう。万が一の情報漏えいによって多額の損害が出た場合に備える保険もある。在宅勤務のようにオフィスに外で働く従業員が増えれば、電話やWebなどの手段で対応できるサポートも不可欠になるだろう。

 片山氏は、将来的に画面転送型シンクライアントのようなシステムが普及するだろうとみている。社内のデスクトップ環境にどのような端末からでもアクセスできるが、データ自体は端末に一切残さないという仕組みだ。現状では導入コストが高く、厳しいセキュリティ要件が課せられている業務環境での導入が中心だが、コスト改善が進み、実績が広がれば、セキュリティ強化とワークスタイルの多様化を実現でいる手段として期待される。

 これまで、企業にはグローバル化や国内経済の成長の鈍化を背景に、組織としての生産性向上が求められてきた。直近では節電に向けた在宅勤務制度の導入など、業務環境の改善も緊急の課題となった。限られたリソースの中で、新しい環境に対応していく力が企業に問われている。片山氏は、「今まで求められてきた課題にしっかりと向き合うべき時期ではないか」と語る。

 セキュリティと利便性のバランスが取れた環境を実現するためにも、まずは今の環境を直視して問題点がないかを洗い出し、その解決を図る手段を積極的に活用していく。現状を最適化できれば、余裕を持って新しい環境の導入に踏み切ることができるだろう。

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