銀河の中心にある超大質量ブラックホール。

このブラックホールの直ぐそばにある、
分子ガス雲の質量と星生成率を調べてみて見つけたもの。

それは、これまでの研究で欠けていた部分を埋める、
新種のガス雲だったそうです。


活動銀河核

天の川銀河の近傍(数億光年ほど)に存在する銀河のうち、
1割程度は、ひときわ明るく見える中心部分“活動銀河核”を持っています。
  星、星間チリ、星間ガスといった通常の銀河の構成要素とは別の部分から、
  エネルギーの大半が放出されている特殊な銀河。このエネルギーは、
  活動銀河の種類によって若干異なるが、電波、赤外線、紫外線、X線、γ線など、
  電磁波のほぼ全ての波長域で放出されている。このエネルギーの大半を、
  銀河の中心1%程度のコンパクトな領域から放出していて、この部分を活動銀河核と呼ぶ。

  “活動銀河核”に違ったタイプ
    

これらの銀河の中心では、
太陽の100万倍以上の質量を持つ超大質量ブラックホールに、
ガスやチリが降り積もり、その時に解放される重力エネルギーが、
可視光線などの電磁波として放射されます。

今回の研究では、
こうした“活動銀河核”の周辺に存在するガスやチリの性質、
とくにそこからどの程度の割合で星が誕生すのかを解明するため、
アルマ望遠鏡による電波観測データを解析しています。

研究チームが調べたのは、
くじら座の方向約5000万光年彼方にある“活動銀河核”を持つ渦巻銀河“M77”について、
銀河中心からわずか50光年の至近距離に位置する分子ガス雲の性質でした。

そして明らかになったのが、
この分子ガス雲は太陽の約20万倍の質量を持ち、活発に星を生んでいるのですが、
その質量と星生成率は、これまでの研究で「ギャップ」となっていた部分を、
埋めるものだということでした。
“活動銀河核”を持つ渦巻銀河“M77”(左下)。



分子ガス雲と星生成率の間にある法則

従来の研究で、分子ガス雲の質量と星生成率との間には、
良い相関があることが知られていました。

でも、“天の川銀河の分子ガス雲”と、
“活発に星を生んでいる遠方の銀河の分子ガス雲”の間には、
明瞭なギャップがあり、その部分がどうなっているのかは謎だったんですねー

そして、今回観測対象になった、
“M77”の“活動銀河核”の直ぐそばにある分子ガス雲が、
まさにそのギャップを埋めるものだったというわけです。
分子ガス雲の質量と星生成率との相関関係。
天の川銀河の中にある分子ガス雲と、活発に星を生んでいる遠方の銀河との間には同じ関係が見られ、その間にある“M77”の分子ガス雲(☆マーク)も同じ関係にフィットしている。

当初、活動銀河核の周辺にある分子ガス雲は、
超大質量ブラックホールの重力場や強烈な電磁波、ジェットによる影響を受けているはずなので、
天の川銀河にある普通の分子ガス雲とは性質が違っていると考えられていました。
  星の形成を妨げている? 超大質量ブラックホールから吹く風
    

でも予想に反して明らかになったのは、
超大質量ブラックホールの直ぐそばという過酷な環境においても、
今まで知られていた法則にしたがって星が生まれていたこと。
  星の誕生を促進させていたのは、超大質量ブラックホールのジェットだった!?
    

このことは、分子ガス雲と星生成率の間にある法則が、
普遍的であることを示す結果となりました。

今回の発見により、
宇宙における星生成の原因を統一的に理解する研究への道が拓けたんですねー

さらに、他の活動銀河核の周辺にある分子ガス雲を系統的に研究することで、
活動銀河核とその母銀河の進化に関する研究も進展することが期待されます。


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