旅が成功し火星に到着すると、次はその環境に耐え抜く必要があります。
そして、火星で推進剤を作ることで、
NASAは初期ペイロード重量を何トンも削減することができます。
さらに、ミッション終了後に装置を火星に残しておけば、
将来の火星活動時に推進剤だけでなく、
水や空気を製造する施設を作るインフラとして再利用できます。
推進剤の原料を火星で手に入れるには
火星上昇機“MAV”のエンジンの推進剤は、
燃料であるメタンと、酸化剤の液体酸素になります。
これを作るために必要な全ての原料「炭素、水素、酸素」は、
場所さえ分かっていれば、火星で見つけることができるんですねー
95%が二酸化炭素(CO2)になる火星の大気からも酸素を得るのは可能ですし、
地中に埋まる液体の水および氷(H2O)からも酸素を得ることが可能です。
酸素を取り出して残った炭素と水素を使えば、メタンも作れてしまいます。
でも水の掘削は、単純に大気から抽出するのに比べると、
かなり複雑で難しく、ミッションに不確定要素を増やすだけなんですねー
地下水から推進剤を生産するには、もう1つ問題があります。
それは、水が確実にある場所に着陸しないといけないことです。
掘らなければいけないのに、着陸した場所が岩盤の上だったら、
すべてが無駄になってしまいます。
水素は地球から持っていく
火星の水から水素が得ることが出来ないのなら、
地球から水素を運び、メタンの原料とする方法もあります。
でも、初回ミッションでは、これも現実的な選択肢ではありません。
水素は重くないのですが、非常に大きなタンクが必要で、
貴重なスペースを消費してしまいます。
着陸機の上部は設計上、デッキスペースが大半を占めていまて、
水素タンクを置く余地はないんですねー
MAVの幅を狭めて背を高くすることで、水素タンクの場所を確保する方法もあります。
でも、高くするのはできるだけ避けた方がいいようです。
あまり高くしすぎると着陸後に転倒してしまうかもしれません。
さらにMAVの背が高いと、宇宙飛行士の身体的な負担にもなります。
ミッション中のトラブルなどで飛行士が動けなくなったりした場合、
高いハシゴを登るのは大変なので、乗り込みやすさはMAVに欠かせない条件になります。
4年も火星の環境に耐える
以上のような理由から、
現在のプランでは、MAVには液体メタンを積載したうえで、
火星大気から液体酸素を作る化学プラントを装備して、
火星に送ることが想定されています。
このプロセスには、1年から2年の時間が必要で、
MAVの液体酸素タンクが満タンになったとき、火星に人が送られることになります。
でも、それだけではミッションは完了しません。
もう1つの課題に、推進剤の低温貯蔵があるからです。
火星で推進剤を作ったら、実際に使用するまでの2年間、
沸騰させないように冷却状態を保つ必要があるんですねー
そして、推進剤が貯蔵できたとして必要になるのが、
漏れの少ないバルブの開発です。
現時点では漏れのないバルブは無いからです。
さらに大きな懸案事項が時間になります。
MAVは、推進剤を作るのに1、2年を必要とします。
その後、地球から飛行士が200~350日かけて火星に向かい、
到着後から500日にも及ぶ火星探査が行われます。
つまり、MAVは最初の火星着陸から4年程度、
いつでも離陸できる状態を保たないといけないんですねー
火星環境に放置され、
チリや強力な紫外線放射に耐える必要があるということです。 (つづく)
こちらの記事もどうぞ
火星へ探査に行くとしたら (その1) 難しいのは帰り方とその準備…
火星へ探査に行くとしたら (その2) 人類にとって初めての大規模遠征
火星へ探査に行くとしたら (その4) 火星探査に必要な宇宙服
火星へ探査に行くとしたら (その5) 地球への帰還
そして、火星で推進剤を作ることで、
NASAは初期ペイロード重量を何トンも削減することができます。
さらに、ミッション終了後に装置を火星に残しておけば、
将来の火星活動時に推進剤だけでなく、
水や空気を製造する施設を作るインフラとして再利用できます。
推進剤の原料を火星で手に入れるには
火星上昇機“MAV”のエンジンの推進剤は、
燃料であるメタンと、酸化剤の液体酸素になります。
これを作るために必要な全ての原料「炭素、水素、酸素」は、
場所さえ分かっていれば、火星で見つけることができるんですねー
95%が二酸化炭素(CO2)になる火星の大気からも酸素を得るのは可能ですし、
地中に埋まる液体の水および氷(H2O)からも酸素を得ることが可能です。
酸素を取り出して残った炭素と水素を使えば、メタンも作れてしまいます。
![]() |
| 初期ペイロード重量を減らすため、 MAVは火星到着後に大気から液体酸素を製造する。 |
でも水の掘削は、単純に大気から抽出するのに比べると、
かなり複雑で難しく、ミッションに不確定要素を増やすだけなんですねー
地下水から推進剤を生産するには、もう1つ問題があります。
それは、水が確実にある場所に着陸しないといけないことです。
掘らなければいけないのに、着陸した場所が岩盤の上だったら、
すべてが無駄になってしまいます。
水素は地球から持っていく
火星の水から水素が得ることが出来ないのなら、
地球から水素を運び、メタンの原料とする方法もあります。
でも、初回ミッションでは、これも現実的な選択肢ではありません。
水素は重くないのですが、非常に大きなタンクが必要で、
貴重なスペースを消費してしまいます。
着陸機の上部は設計上、デッキスペースが大半を占めていまて、
水素タンクを置く余地はないんですねー
MAVの幅を狭めて背を高くすることで、水素タンクの場所を確保する方法もあります。
でも、高くするのはできるだけ避けた方がいいようです。
あまり高くしすぎると着陸後に転倒してしまうかもしれません。
さらにMAVの背が高いと、宇宙飛行士の身体的な負担にもなります。
ミッション中のトラブルなどで飛行士が動けなくなったりした場合、
高いハシゴを登るのは大変なので、乗り込みやすさはMAVに欠かせない条件になります。
4年も火星の環境に耐える
以上のような理由から、
現在のプランでは、MAVには液体メタンを積載したうえで、
火星大気から液体酸素を作る化学プラントを装備して、
火星に送ることが想定されています。
このプロセスには、1年から2年の時間が必要で、
MAVの液体酸素タンクが満タンになったとき、火星に人が送られることになります。
![]() |
| 火星上昇機と着陸機が火星大気圏に入ると、 膨張式のシールドが展開される。 |
でも、それだけではミッションは完了しません。
もう1つの課題に、推進剤の低温貯蔵があるからです。
火星で推進剤を作ったら、実際に使用するまでの2年間、
沸騰させないように冷却状態を保つ必要があるんですねー
そして、推進剤が貯蔵できたとして必要になるのが、
漏れの少ないバルブの開発です。
現時点では漏れのないバルブは無いからです。
さらに大きな懸案事項が時間になります。
MAVは、推進剤を作るのに1、2年を必要とします。
その後、地球から飛行士が200~350日かけて火星に向かい、
到着後から500日にも及ぶ火星探査が行われます。
つまり、MAVは最初の火星着陸から4年程度、
いつでも離陸できる状態を保たないといけないんですねー
火星環境に放置され、
チリや強力な紫外線放射に耐える必要があるということです。 (つづく)
こちらの記事もどうぞ
火星へ探査に行くとしたら (その1) 難しいのは帰り方とその準備…
火星へ探査に行くとしたら (その2) 人類にとって初めての大規模遠征
火星へ探査に行くとしたら (その4) 火星探査に必要な宇宙服
火星へ探査に行くとしたら (その5) 地球への帰還

