火星へのミッションは、
人類にとっては初めてとなる、宇宙への大規模遠征隊になります。

そのため、宇宙飛行士と積荷を火星に運ぶのに、
5機も宇宙船が必要になると考えられています。

また一部の積み荷は、複数のパーツに分割されていて、
宇宙飛行士が到着した後に組み立てられることになります。

でも火星上昇機“MAV”は、そうは行きません。

チリの舞う火星で宇宙服を着てエンジン積載作業を行い、
その船体で一度きりの離陸に挑むのは、難易度が高すぎるんですねー

なので、火星ミッションにおいてMAVは、
「分割できない最大のペイロード」になり、重量は18トンになる見込みです。

これまでに人類が火星表面に送った最も重いものでも、
探査車“キュリオシティ”の1トンであることを考えると、
“MAV”を送り込むことは、かなり難しいミッションと言えます。


重くなると難しくなるのはなぜ?

理由は、火星の大気が薄いことにあります。
地球の場合、着陸カプセルが基本的に空気抵抗を利用して減速します。

でも、火星の大気の濃さは地球の100分の1…
火星への大気圏突入時にカプセルが燃え尽きることはあっても、
十分な減速を期待することはできないんですねー
摩擦熱が生じるほどには十分濃い火星の大気も、
MAVとその着陸機のような巨大な物体を、
パラシュートを使って減速させるには薄すぎる。

極超音速インフレータブル空力減速機(HIAD)などの技術開発に、
NASAが取り組んでいるのはこのためです。

HIADは巨大な円錐状の膨張式熱シールドで、減速システムとしても機能します。

火星大気圏突入時に、
この熱シールとが展開され、着陸機は極超音速から超音速まで減速。
その後ロケットエンジンを始動して、着陸を制御することになります。
膨張式のシールドのおかげで、MAVは音速の2.5倍から3倍まで減速。
減速するとシールドは分離し、
下降モジュールに搭載されたロケットエンジンを使いながら降下する。

そして着陸には、5~7トンの推進剤が必要になります。

一方、MAVが火星から離陸して重力圏を脱出し、
宇宙飛行士と積荷を地球帰に輸送するのに必要となる推進剤が33トン。

こんな量を事前に送ることは出来ないので、
現地で推進剤を作り出すことが必要にななるんですね。   (つづく


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