地球と宇宙天気を観測する衛星“DSCOVR”が、
目的地の太陽・地球系のラグランジュ第1点に到着しました。

このあと搭載機器の試験などが行われ、
この夏から本格的な運用が始まることになります。
地球・宇宙天気観測衛星“DSCOVR”


打ち上げは今年の2月

“DSCOVR”は2月11日(日本時間)にファルコン9ロケットに搭載され、
ケープ・カナベラル空軍ステーションから打ち上げられています。

約35分後には暫定的な軌道に入り、
その後、衛星側のスラスターを使い徐々に軌道を変えていました。

そして今回、目的地になる太陽・地球系のラグランジュ第1点に、
到着したんですねー


宇宙天気と地球の昼側を観測

“DSCOVR”は「Deep Space Climate Observatory」の略で、
直訳すると「深宇宙の気象観測所」という意味になり、
「発見する」という意味の「Discover」にも掛けられています。

NASAとアメリカ海洋大気庁“NOAA”が開発した衛星で、
太陽から放出される荷電粒子や、磁気嵐の状況といった「宇宙天気」の観測と、
地球の昼の側(太陽光が当たる側)を常時観測することを目的としています。

“DSCOVR”が運用される軌道は、太陽・地球系のラグランジュ第1点。

そこは地球から約150万キロ離れ、
太陽と地球との間の引力が均衡しているポイントです。

ここに衛星を置くことで、
太陽や地球から見て、常に同じ位置から観測し続けることが出来るんですねー
“DSCOVR”はラグランジュポイント第1点、またはL1と呼ばれる位置で太陽を周回する。


始まりはトリアーナ計画

“DSCOVR”はもともと、
1990年代に開発が始まった、トリアーナ計画が源流になっています。

トリアーナは当時のアル・ゴア米副大統領の肝いりで始まった計画。

太陽・地球のラグランジュ第1点から、
地球の太陽に向いている面を常に観測し続け、
地球表面からのエネルギーの放射量やエアロゾル、
オゾン、雲の動きなどを観測することが目的でした。

さらに青く輝く地球の写真を、
ほぼリアルタイムで世界中に配信するというミッションも、
含まれていたんですねー

このミッションはゴア副大統領が考えたものでした。

宇宙に浮かぶビー玉のように輝く地球の写真を、
トリアーナを使って世界中に配信することで、
環境問題や世界平和への意識を高めることを、
期待していたそうです。

でも、このような計画は税金の無駄遣いだと非難されることに…

さらに、すでに今ある他の衛星からのデータで十分だという声もあったので、
衛星は、ほぼ完成していたのですが2001年に計画は中止になります。


計画中止からの復活

その後、衛星は保管され続け、
2009年に、太陽風の観測衛星“ACE”の後継機としてNOAAが資金提供を行い、
復活させることになり、トリアーナを改め“DSCOVR”となったわけです。

ミッションの主役がNASAからNOAAへ移ることで、
観測機器などに変更は無かったものの、NOAAの要求に合わせて調整が行われ、
新たに宇宙天気の観測を目的とした衛星として生まれ変わっています。

17年越しにようやく打ち上げられることになったんですねー

今後、観測機器の試験などを進め、
今年の夏ごろから本格的な運用を開始する予定になっていて、
ミッション期間は5年が予定されています。


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