オールトの雲として知られる、
太陽系はずれの領域から飛来したサイディング・スプリング彗星。

この彗星が、火星のすぐそばを秒速56キロの速度で通過したようすは、
多数の探査機が詳細に観測していたんですねー

そして通過する際に、予想よりもはるかに多量のチリを放出。
このチリは、火星の上層大気に激突して巨大な濃い電離層を形成し、
上層大気の化学的性質を一変させたんですねー

火星の高高度上空にある電離層内で発生した、
この付加的な荷電粒子(イオン)の層は一時的なものでした。

でも、流星群の破片と大気中のこのような著しい変化とを、
科学的に関連付けることができたのは、今回が初めてなので、
長期的な影響についても、解明されることが期待されます。

火星の近傍を通過するサイディング・スプリング彗星。
35分間で撮影されたもので、彗星の中心核の変化が確認できる。

NASAの火星周回探査機“メイブン”により得られたデータでは、
今回の最接近で発生した流星群は、1時間あまり続いたそうです。

また、“メイブン”に搭載された科学機器は、
ナトリウム、マグネシウム、鉄などを含む、
8種類の異なる金属イオンを検出。

NASAによると“メイブン”は、流星群の発生直後に高高度の大気中で、
マグネシウムイオン、鉄イオンからの、ひょうに強い紫外発光を観測ています。

これまで地球上で起きた最も激しい流星嵐でも、
これほど強力な反応は生じ無かったんですねー

もし、人が火星にいたとすると、
空に黄色く輝く光が見えたかもしれません。

その光景は本当に驚くほど美しく、
おそらく1時間に数千個の流れ星が発生したと考えられます。

そして、流星群の発生後には、
火星大気上層に、ナトリウムの層が残り、
これによって黄色の残光が生じた可能性もあるようです。