超大質量ブラックホールのごく近くで、
コンパクトなX線源“コロナ”が移動するという、
珍しい現象がとらえられました。

しかも、ブラックホールに近づいたX線が重力の影響でブレを見せ、
ブラックホールの円盤内部を照らし出しているそうです。
超大質量ブラックホールと、その周辺(イメージ図)

ペガサス座の方向約3億2400万光年の彼方…
ここに位置するブラックホール“マルカリアン335”は、
太陽1000万個分もの質量が、太陽の直径の30倍ほどの領域に詰め込まれた天体です。
高速で回転していて、周辺では時空が大きく歪んでいるんですねー

“マルカリアン335”を取り囲む降着円盤の周囲には、
温度が高く磁化した“コロナ”と呼ばれる、コンパクトなX線源が存在しています。

NASAのX線観測衛星“NuSTAR(核分光望遠鏡アレイ)”は、
その“コロナ”が数日かけて、ブラックホール近くへと移動するようすをとらえました。

“コロナ”がブラックホールの近くへと移動するにつれて、
“コロナ”から放射されるX線が、ブラックホールの重力に強く引っ張られ、
X線が激しくぼやけたり、引き伸ばされたりしているそうです。

同様の現象は、これまでにも観測されたことがあるのですが、
今回ほど激しいものが、詳細にとらえられたのは初めてなんですねー

“コロナ”の形や温度については不明なままなんですが、
そこに光速に近い速さで移動する粒子が、存在することは分かっています。

また“コロナ”は移動から数か月経過しても、
ブラックホールに接近した位置にあるようです。

でも“コロナ”が果たして戻るのか、
戻るとしたらいつなのか、といったことについては分かっていません。

“NuSTAR”はさらに、
ブラックホールの重力によって“コロナ”の光が引っ張られ、
超高温になっている周囲の円盤の内寄りを、照らし出しているようすを明らかにしました。

移動する“コロナ”が、研究者が観測したいと思っている領域に、
正確にフラッシュライトを当ててくれたんですねー

このことが“コロナ”の性質や、
超高速で自転する“マルカリアン335”の速さなどを、
明らかにする手助けになるのかもしれません。