干しブドウのように縮み、しわをふやしつつある惑星…

この太陽の周りを回る惑星“水星”が、
約40億年の間に直径を最大14キロも小さくしていることが、
最新の研究で分かってきました。

水星の岩盤プレートは1枚だけだった

水星が縮小しているのは、
この惑星が冷却しつつあるからです。

地球と異なり水星には、熱損失が地殻に及ぼす圧力に応じて、
振動したり押し返したり横滑りしたりする、
複数のプレートはありません。

なので、水星を一枚で覆っている岩石のプレートが縮むことで、表面がひずみ、
しわ状の尾根と、耳たぶ状の崖と呼ばれる、波打った断崖が形成されることになります。

NASAの水星探査機“メッセンジャー”がとらえた画像から、
こうした惑星表面の全体像が明らかになってきたんですねー
NASAの水星探査機“メッセンジャー”がとらえた水星の画像。
クレーター(青色の部分)の間を、
しわ状の尾根の筋が540キロにわたって走っているのが見える。

程度の差はあれ、すべての惑星は冷却し熱を発散していて、
太陽に最も近い水星も例外ではありません。

でもそのプロセスが、
既にクレーターだらけの水星表面に大きなダメージを与えていて、
最大3キロの断崖や、長く連なる尾根の筋を形成しています。

水星の表面全体を走る尾根の全長は、最大1700キロもあり、
フロリダ州の南北の長さの倍以上に達しているんですねー


あまり行われなかった水星の探査

これまで水星の表面のようすは、半分も分かっていませんでした。

それは“メッセンジャー”以外で、
水星に接近した探査機が、NASAの“マリナー10号”だけだったからです。
マリナー10号
メッセンジャー

“マリナー10号”は、1974~1975年に3度のフライバイを行い、
水星表面の45%を撮影しています。

ただ、この部分的なデータは、研究者たちを不思議がらせることになります。

それは、“マリナー10号”の画像では、
水星が誕生初期の約40億年前、小惑星に次々と衝突されていたころから、
直径にして2~6キロしか縮んでいないことを示していたからです。

これに対し、惑星内部の熱史に基づくモデルでは、
その最大10倍の収縮を予測していました。

それが今回の研究によって、
水星はこれまでに半径にして4~7キロ収縮していることが示されたんですねー


水星の断崖や尾根は、火星や月の表面に見られるものと似ているのですが、
月や火星に比べて、はるかに収縮が進んでいるとみられる点が重要な違いになります。

19世紀ヨーロッパの地質学者の説には、
地球に収縮が起こったので山脈ができたというものがありました。

でも、1950~1960年代に入って、
地球の岩石質の地殻は縮むとしわが寄る一枚の層でなく、
それぞれが独立して動く多数のプレートの集まりだと分かることに…

なので、この説は否定されることになるのですが、
どうやら地球でない惑星“水星”では正しかったようですね。


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