帰ればいいのに。私。
でも、後もう少ししたら来るかもしれないし。
そう思って、立って待ってるのが疲れて座り込んだ。
彼の為にオシャレしたのに汗でじっとりとした身体に気分が低下。
長身の彼の隣にならんでもバランス良く見えるように頑張ってる高いヒールのミュールは仇となって、足が痛いし。
「ねー、ずっとそこにいるけど、誰待ってるの?」
栗色のカールした髪が、明るい街の明かりにてらされて綺麗に見えたけど、表情は影となって見えない。
「もう来るから」
「俺、さっきもココ通ったけど、ずっと待ってるよね?もしかして、すっぽかされた?」
「あっちいって」
恥ずかしくて、そんでちょっと怖くて。
顔をそむけた瞬間。
携帯が鳴り響いた。
慌てて通話ボタンをタッチする。
「もしもっ」
「悪い、今日ムリ」
「・・・・・わかりました」
私の返事も聞かないまま、通話は途切れた。
――ひどい。
会社を出る時も会議してたから、遅れるとは思ってたけど
「どうしたの? やっぱ、ブチられた?」
「うん」
「まじで」
隣で爆笑の彼は、グイッと私の肩を引き寄せて「よし、飲みにいこう!」と叫んだ
むしゃくしゃしてた。
だから、これは仕方のなかった事。
一夜の過ち。
夏だし、暑いいし。
今日はもう、お泊りの準備万端だったんだもん。
「――、ん」
絡みつく長い腕が私の身体を強くつかんで、空から冷たい汗がポタポタと落ちてくる。
彼じゃない指先
彼じゃない息遣い
彼じゃないのに、身体は受け入れた
変な感じ。
