訳注:② デーモン

Samuel Mills Damon  1845-1924

 

両親は、1842年にホノルルにやってきた宣教師。

サミュエルはデーモン家の長子として

1845年にホノルルで生まれました。

 

プナホウ・スクールで学んだ後、

ホノルルの商店の店員として働き出します。

1871年にチャールズ・R・ビショップ銀行に入行し、

10年後には共同経営者となっています。

 

妻のハリエットもやはり同じように

宣教師(ドワイト・ボールドウィン)の娘。

義兄ヘンリーがマウイ島で始めた砂糖工場にも投資、

やがてこちらの副社長も務めることに。

この会社はのちにAlexander & Boldwin Co. という

ハワイ5大財閥の1つになる大会社に成長します。

 

父デーモン牧師は、1862年には

リリウオカラニとドミニスの結婚式を執り行うなど、

王家やビショップ夫妻と繋がりも深いものがあります。

(リリウの結婚式もビショップ夫妻の家で行われました)

 

チャールズ・ビショップの妻の

バーニス・パウアヒが亡くなった際には、

モアナルアの3600ヘクタールを相続し、

またパウアヒの遺言執行人として

彼女の残した莫大な土地の信託管理を担当しました。

(このモアナルアの土地には、

現在のモアナルア・ガーデンの他にホノルル空港、

モアナルア高校、ソルトレイクなども含まれていました)

 

 

この年、カラカウア王は彼を枢密院の一人に指名、

1891年まで王の相談役を務めました。

1889年に財務大臣グリーンが健康上の理由で辞任すると

その後任につきます。

本章ではこの時のことが語られています。

 

 

パウアヒの夫チャールズ・ビショップが

1893年にハワイを離れサンフランシスコに移住、

デーモンは単独で銀行の経営者に。

これがのちの、ファースト・ハワイアン銀行です。

 

王家とつながりの深かった彼は

リリウオカラニとの関係も良好だったそうで、

宣教師党や精糖会社の白人たちとの間に入って

調停役を務めることも多かったそうです。

 

王国が滅び共和国になり、アメリカ併合までの間、

共和国副大統領や財務大臣など

何度も重職を務め、

また1897年のビクトリア女王のダイアモンドジュビリー(在位60周年記念)には

ハワイ共和国特使として参加しています。

 

 

***

 

この章の冒頭の部分を読むと

リリウオカラニはこのころ(1897年ごろ)、

サミュエル・デーモンに対して

強い嫌悪感を持っていたように受け取れます。

 

兄カラカウア王に対して

無礼なやり方で敵対していた連中の一人に

彼の名も加えています。

 

共和国の副大統領というからには、

ハワイ王国の王政廃止という事件に

かなり深いところで関与していたのではと思います。

女王としては、遺恨のある相手ですよね。

 

自分の姉(養姉)の遺産を管理していた人で

広大な土地も相続している点で、

複雑な思いがあったのかなぁ・・・?

親戚でもないのにね。

どれほどの付き合いがあったのかわかりませんが、、、

 

実際にこのかた、どういう人物だったのか。

ビショップから信頼もされていたところを見ると

堅実で、商売の才覚もあったのかな。

カメハメハスクールのHPでは

「類稀なビジネスと金融の才能を示し」と書かれています。

 

写真見ると、人相良くないので(失礼 w 

逆にどんな人だったのか、興味わいてます。

人間的には、ごく普通の人だったのかもな。

 

人相は良くないが確かに頭は良さそうな

ひたいの面積と張り出し具合が素晴らしい

Samuel Mills Damon

 

 

 

リリウオカラニとは友好な関係だった、と

Wikipediaには書いてあるけど

この政変以降はどうだったのかな。

 

 

こうしたことをつらつら考えていると、

やっぱ、なんか、

この、カラカウア王家とカメハメハ王家の

2つの系統の断絶感というか、、、

ここが、ハワイ王家の滅亡の

大きなカギの1つになっている気がします。

 

カラカウア王が、カメハメハ王家と

もっと手を取り合ってハワイを近代化していけたら

 

バーニスやルース王女、

そしてエマ女王をもっと大切にしていたら

よかったのかなぁ〜

なんて思ったりしますが

 

そうそう上手くもいかないのが

人間の世界なんですね・・・

 

王族のどのメンバーも、

皆その人なりに、ハワイを守りたいと思っていたはずで

 

でも

思い方はそれぞれ違っていて

 

 

そして何より、

国民がね。

 

国民にとっての幸せ、利益ってものが大前提ですが

その国民の意味が、

あの当時のハワイでは

ハワイ人だけではないのですからね〜

 

世界中から移民が来ていて、

混じり合って、

利害もぶつかり合って。

 

 

未来の日本を思うと、

いろいろ勉強になります・・・

 

 

リリウオカラニが、いかに大変な人生を生きたか。

この私の薄い脳みそでぼんやり想像するだけでも

ただただ、ため息出ちゃいます。