プロローグ
――――かつてこの世界には、2つの種族があった。
神の加護を受ける者と、受けない者。
ただそれだけの違いだったが、加護を受けている者は知に優れ、世界を発展させる理を創り上げた。
そのため、加護を受けない者は受ける者を神同然に崇め、そうして人々は均衡を保ってきたのだ。
しかし、数百年の時を経て――――。
加護を受ける者と受けない者とが、同等の立場にいる時代となった。
それどころか、加護を受ける者同士で愛し合うことも少なくなり、その血は次第に薄れ、加護を受けない者が中心となって世界を創り続けていったのだ。
その結果――――。
現在では加護を受ける者は“古代の民”と呼ばれ、数少ない種となっている。
そしてまた、加護を受けない者は“古代の民”の創り上げてきた理の下、その勢力を拡大させ――――
いつしか普通のヒト、即ち“人間”となったのである。
これが、現在の『種族』だ。