どうして・・・こんなことになっちゃったのかな。

私、凛君とケンカするつもりはなかった。

というより、真実さえ聞かせてもらえばそれで良かったの。

なのに・・・どうして・・・。

「ちょっと、さやか!?」

私、魅羅に呼ばれてはっとする。

「あ、ご、ごめん。何?」

「さやか、今日ぼーっとしすぎ!何かあったの?」

魅羅・・・。

話しちゃおうか、全部。

魅羅だったら、誰よりも分かってくれて、誰よりも厳しく叱ってくれる。

そんなさっぱりした魅羅だから、仲良くなれたのかもしれない。

「・・・聞いてくれる?実は・・・。」

私は、今朝あったことを話した。


「なるほど。そういう事情か・・・。」

「うん。私、凛君の口から真実を聞きたかっただけなのに・・・。そう願うのは、駄目なのかな?」

自分で言って、だんだん不安になってくる。

凛君、いつも私に本音で接してくれてるのかな?

今までだって、凛君なりの嘘はあったんじゃない?

私、凛君を信じなきゃいけないのに・・・。

「でもさ、さやか。凛君、年下だよ?気を使いすぎることって、あるんじゃない?そういうリスクを背負ってでもつき合うって言ったの、あんたなんだからさ。しっかり、自分が言ったことにだけは責任持ちなよ。」

え?

そんなの・・・初めて言われた。

凛君は年下――――・・・。

魅羅の言葉が、次々に脳裏に蘇ってくる。

そっか、私、大切なこと忘れてたんだね。

凛君は年下。

どうしても、私に気を使うことだってある。

それに、例え年上の私でも、凛君に気を使うこともあるし。

生まれた時からの幼馴染じゃないんだから、分からないことがあったって当然だ。

大切なのは、それを全部理解することじゃなくて、じょじょに知っていって、受け止めること。凛君を待ってあげること。

そんなことも忘れてつき合ってたなんて・・・ちょっと、恥ずかしい。

「ありがとう、魅羅。私、目が覚めた気がする。」

そう、つき合うっていうことに、リスクをひとつも負わないものなんてない。

ましてや、年の違う私たちだもん。分からないこともあって、当然だよね。

ただ、本当に好きなら、それを乗り越える強さを持つこと。

それが、大切なんだよね。

「やっぱり、魅羅が友達で良かった。」

「そう?・・・何か、利用されてる感もあるけど。」

え!?

そ、そんなつもりないのにな・・・。

「ご、ごめん・・・。」

「冗談だって、冗談!私も、さやかが友達で良かったよ。頑張ってね、凛のやつと。」

「・・・うん。」

私、素直にこくんと頷く。

魅羅が、せっかく気づかせてくれたんだもん。

頑張らなきゃ。勇気を出さなきゃ。

凛君に、私の想いを伝えなきゃ――――・・・。