次の日の朝。

本当は、学校に行くのがすごく怖かった。

芽美や捺騎君、恵太君はどうしてるの?

他の子には、1日しか休んでないから、風邪でごまかせる。

でも、3人は・・・?

そう思うと、不安で胸が押し潰されそうになる。

でも、勇気を出さなきゃ。

未来を変えるって、決めたんだから・・・!


「芽美、おはよう・・・。」

廊下でばったり、芽美と会う。

「・・・何?何か用?」

冷たい視線。

まるで、今までの芽美じゃないみたい・・・。

「あ、あのね。話があるから、ちょっと来てもらっていい?」

「・・・いいけど。」

仕方なさそうについてくる芽美。

怖い・・・でも、もうだいじょぶ。

お母さんの『未来は変えられる』って言葉と、セリアが言ってた『辛い過去がある。だから強く、優しくなれる』って言葉を、信じてるから。

みんなを集めて、私は自分の思いを伝えよう。


「あっ・・・あのね!私、またみんなと話したい。仲直りして、今までどおり仲良くしたい・・・駄目・・・かな?」

中庭で、私と芽美、捺騎君、恵太君で集まる。

「それって・・・卯月の本心?」

捺騎君に聞かれて、私、こくりと頷く。

「僕はいいけど・・・。っていうか、ケンカしてたの?」

え?

予想外の返事。

芽美に言われてからあまり話さなかったから、自覚してるのかと思ってた。

「さ、さすが天然王・・・。」

「卯月には言われたくないだろ。まっ、オレもわけ分かんないままは嫌だしな。」

恵太君が、軽い調子で言う。

わ、私って天然なの?

ここまでじゃないよ!ケンカ・・・っていうか、空気が悪かったことは分かってるよ。

「芽美は・・・どう?」

沈黙が続く。

正直、芽美に完全に理解してもらえるとは思ってない。

芽美は、いつだって私を守ろうとして言ってくれてたから。

それなのに、私・・・。

でも、こんな関係で終わりたくないって。

その事実だけは、伝えたい。

「・・・じゃあさ、聞くよ。」

「うん?」

「恵太、あんた、どうしていじめなんかしてたの?そんなじゃなければ、私だってあんなひどい言い方・・・。」

芽美・・・。

芽美だって、理由もなく無視してたんじゃない。

そういうことを一番嫌うのは芽美だって、知ってるから。

「・・・オレ。」

恵太君が口を開く。

「いじめなんかしてた?」

「「「はぁ?」」」

意外な言葉に、思わず3人でハモる。

「な、何言ってんの!だって、中学の時・・・。」

「へ?ああ、裏で手をまわしてたって噂?あれ、嘘。ってか、何で中学の頃の噂、芽美が知ってんの?」

「う、嘘・・・。」

じゃあ私たち、今まで噂に振り回されてたってこと?

はあ~、バカみたい。

・・・でも、良かった。

やっぱり恵太君は、そんなことする人じゃないもんね。

「・・・ごめん、私の勘違い。気にしないで。この前言ったことも帳消し!」

え、じゃ、じゃあ・・・。

「仲直り、するの?」

「っていうか、1人でケンカしてる気分になってた私がバカみたいじゃない。あーあ、もう止め止め!」

本当に、良かった。

無視なんてする芽美は、芽美らしくない。

これでまた、4人でいっぱい話せるね。

セリアはもう、異国の地に行っちゃったけど・・・。

だいじょぶ、心は繋がってるよ。

「・・・ねえ、捺騎。」

「うん?」

「・・・卯月をよろしくね。この前、あんなこと言っちゃったけど・・・卯月が本心を表せるの、捺騎だけみたいだから。」

「任せといて。」

芽美と捺騎君が、何かを話していたのが横目で見えた。