かつての彼のバイト先に
ご飯食べ行ったの。
彼、キッチンだし
今までも会ったこと無かったから
今回も会わないと思ってた。
むしろ、向こうも声書けないと思ってたし、大丈夫だと思った。
油断した。
スッピンだったのに!
会計して貰ってたら
暖簾から覗く眼鏡が見えて
あ、やばいと思ってシカトした。
そしたら暖簾をばって捲って私を呼ぶんだ。
一緒にレジにいたバイト君に
あれ、千得るだよ、って言って。
私、誰だかわかんない風に
目を細めたら、手を振るの。
私も満面の笑みで振り替えしちゃったよ。
顔真っ赤だったよ。
もう。忘れたと思ったのに。
嫌いになれたのに。
馬鹿なことしたなぁと思ってたのに。
心をかき乱された。
ああ、嬉しくなる自分がやだよ。
つらいよつらいよ。
化粧ポーチを忘れたのには
こんな経緯があったんだぜ。
好きだ、今でも。
前に私がバイトしてた頃、
彼の前カノが、今日の私みたいな感じになってた。
その時は彼、今日みたいに
声に気付いて暖簾を捲った。
で、彼女が笑って手を振ると、
会釈して暖簾を下ろした。
私の時と、違う。
ま、今日忙しすぎて
ぶっ飛んでたのかもしれないけど、
すごい、嬉しい。
私に会えたことを喜んでるように、錯覚してしまって。
ほんとダメだ、私。
これ妄想じゃないよね?
現実だよね?
でももう忘れるよ。
先は望まないからね。