おんせんびぼーろく-岩井温泉 岩井共同浴場(鳥取県岩美郡岩美町)

兵庫県の日本海沿いにも温泉は数多く点在するが、一部を除き、どうもカニや海水浴をメインにしているところが多く、馴染むことができない。吉永小百合と松田優作が競演し話題となったNHKドラマ「夢千代日記」の放映以来、観光温泉として変貌した湯村温泉を横目に、国道9号線を先に進むと県境の蒲生トンネルをくぐる。ここからは鳥取県。やがて静かな岩井温泉の町並みに入る。

 

温泉街を貫いていた国道を、バイパス工事によって南に移した効果もあって、本当に静かになった。街道風情も蘇り、いい感じだ。早速、「ゆかむり温泉」と名付けられた共同浴場に向かう。レトロというか、かなりアレだが、マニアな私にはこれまたいい感じだ。130円の入浴券を近くのタバコ屋で求めて、入浴するシステム。円形と花形の二つのタイル浴槽。ひとつは深く、立って入るようになっている。カルシウム・ナトリウム-硫酸塩泉は、ほんのり硫黄臭を放つ、緑がかった湯だ。47・6度がそのまま掛け流されているのか、ちょっと熱め。それがまたパワーを物語っているようで頼もしい。

 

浴場の名前になっている“ゆかむり”とは、柄杓で湯を叩きながら頭に湯をかぶる、ここ独特の奇習を表したものらしい。一緒になった爺様に聞いたが、さすがにもう誰もやっていないとのこと。実演をお願いしたが断られてしまった。残念・・・。

 

(MEMO)
レポートは昭和62年。残念ながらこの建物は取り壊され、新しい施設が建てられたらしい。湯は昔のままだ。ゆかむり風習は観光用に再現されているとのこと。

 

(付記)

現在は「ゆかむり温泉共同浴場」として営業中。