鳥取の小さな温泉地、岩井温泉は心地いい。共同浴場のほか、もらい湯させてくれる宿が3軒。宿泊者には、すべてを回れる手形も販売されている。どこの宿へ立ち寄っても、そこの宿泊者と変わらない温かな対応がウレシイ。全部に泊まったわけじゃないが、どの宿もレベルが高いと感じる。温泉経営者にぜひ訪ねてもらいたい温泉のひとつだろう。そんな中で、3軒の中で一番泊まりたいと思ったのが「花屋旅館」。もちろん他の2軒も接客を通じて素晴らしい宿だと実感できた。とりわけ素晴らしい足元湧出湯が楽しめる「岩井屋」は憬れの宿でもある。でもやっぱりちょっと高い(笑)。ちょっとだけのような気もするが、小金持ちあたりに昇格したときのお楽しみにしておこう。「花屋旅館」は私の所得に合わせた料金体系(笑)で、日本旅館の情緒をたっぷり味わえる素敵な宿なのである。
浴場は男女別に1つずつ。どちらも湯治宿気分が味わえる趣のあるヒノキ風呂なのだが、一箇所は露天風呂のある庭園に通じている。露天風呂はこれだけだから、時間を区切って男女入れ替えになるようだ。面白いのは男女浴場の仕切り。壁のように見えるが、実は大きな引き戸になっていて、鍵を開けたら2つの浴場がひとつになる。小部屋の襖を取り払えば、大広場になるというのはあるが、温泉では初めて見たような気がする。今回は運よく露天風呂付きに入れることに。美しい庭園にある露天風呂もいいが、やっぱりヒノキ風呂が落ち着いていい感じ。源泉は共同浴場と同じ岩井温泉第1源泉。pH7・3、47・6度のカルシウム・ナトリウム-硫酸塩泉をそのまま使っているらしく、ちょっと熱め。でも体にじんわり馴染む、やさしい湯だ。飲泉もでき同じ元湯でも、共同浴場より新鮮な湯に感じた。何よりもあふれる湯を独占。これこそ宿湯の魅力。750円なんて安いものだ。
ちょっと残念だったのは、宿の前にある尾崎翠資料館「ゆかむりギャラリー」に立ち寄りそびれたこと。昔ながらの木造3階建ては、かつて花屋の本館として使用されてきたらしく、入館できると知っていれば立ち寄ったのだが・・・。蟹シーズンは、私の格では辛くなる料金体系に変化しそうだが、この冬に行ってみたいなあと思う。
(MEMO)
レポートは平成18年。
(追記)
令和に入って休業、最近の新聞記事により、追憶物件になったことを確認。もらい湯の印象が良かったので、宿泊の検討に入ったが、芳しくない口コミ多数。おそらく末期症状だったのだろう。3軒しかない貴重な宿の一角を占めていたのにもったいないなあ・・・
