こうして2人きりで長時間話すのは2回目だっけ。

皆が帰って2人きり、オフィス内でも話足りなくて、帰り際の駐車場でもまだ話足りなくて。

でも今日は遅いから、明日があるから、もう帰らなきゃ。

「じゃぁもう帰んな」と、不意に肩にかけてたカバンを直して、ぽんぽん、と、頭を軽くたたいてわしゃっと撫でた。

ただそれだけなのに。

その不意打ちに、ドキッとした。

何もなかったかのように笑って車に乗り込んで、「明日も頑張ろうね。おやすみー。」と手を振った。

だけど、後からじわっと、その右手から流れ込んだ温もりが全身に伝わって、ドキドキが止まらなかった。

明日も、また行く。

明後日も、また会う。

その笑顔で。


恋愛は常に不意打ちの形をとる。
by 立原正秋