18歳のM子のバイト先は

飲食店だった。



現場系の仕事であろう服装で

仕事終わりと思われる時間に

5〜6人で来店する人達がいた。



初回来店以降

頻繁に利用してくれて


M子も顔見知りになった。


愛想だけは良かったM子は

そのグループに気に入られたということもあり


注文はM子が呼ばれるようになっていた。





内心嬉しさでいっぱいだったM子。




そのグループの1人が

気になっていたからである。




ダボっとした作業服


少し長めで明るい髪の毛


整った顔立ちから出る可愛い笑顔



ドストライクの見た目だったその男は

Jという名前ということまで知るくらい

頻繁に来店してくれていた。




すっかり仲良くなり

今日は来るかな、と

バイトの目的がJになっていた。




飲食店のこの店には

テーブル席が団体席、4人席、2人席

があり

奥に座敷がある。



J達はテーブルの団体席にいつも座るので


なるべくその席は空けていた。




そしてある日の事


Jが来た!と心が躍っている事がバレそうなくらいの笑顔で

「いらっしゃいませ」と言った




あれ?いつもと様子が違う。



照れ笑いしながらJは


『今日は1人なんだ』


と言った。




いまでこそ

“おひとり様”という言葉がある時代だが


20年ほど前の当時は

ランチでも無い時間に

1人で飲食店に来る人は珍しかった。





Jを初めて2人席のテーブルに案内した。



そして注文は

毎回『M子ちゃん』と名指しで読んできた。




もうM子の毛穴という毛穴から

何かが出そうなくらい嬉しかった。




1時間ほどで帰ってしまったけど

その1時間は

デートしているかのような気分で


この日の自分の感情で

Jを好きになっていると確信した。





数日後

Jがいつものメンバーで来店した。



いつものテーブル席に案内して

JとM子は目が合うとお互い照れ笑いをした。




Jは1人で来店して

接客した


ただそれだけの事なのに

思い出して照れていた。




この日も

この席の注文は何度もM子が呼ばれた。




そしてお会計の時



Jと同じ歳くらいで背丈も似ていたYから


折りたたまれた紙が

M子に手渡された。




すぐ直感で分かった


“連絡先だ”と。



しかしその場では見ずに

「後で見ますね」と笑顔でお会計に向かった。





箸袋に番号を書いて渡されるのは

M子に限らず日常茶飯事で


出会い系が主流の現代と違い


ナンパや直接のアピールが多かった時代。





でもなんでYから…?

連絡先では無いのかな?




ソワソワしている気持ちを隠して

J達を見送って


腰巻きエプロンのポケットに入れた紙を確認した。




やっぱり。


連絡先だった。




番号とメールアドレスの下に


『連絡待ってます!Y』



と書かれていた。




Jは?Yが私に?




仲良くなってると思っていたJでは無く


まさかのYからのアプローチに戸惑ったM子。




帰ってからもしばらく悩み


メールを送る事にした。




『こんばんは。M子です。

嬉しかったんですが、J君と連絡とりたいと思っています。』



ただ友達としてかもしれないし

どんな思いでYが連絡先を渡したかも分からないのに


とにかくJの事しか考えられなかった。




Yからすぐ返信がきた



「いきなりJの事言われるとは。笑

分かった、伝えておくよ〜!」



良い人じゃん。




M子はなぜか上から目線で感謝しつつも

Jと連絡できる事が待ち遠しかった。





翌日

『Yから聞いたよ。ありがとうよろしくね』



Jから届いた返信に

ガラケーを持ったまま立ち上がったM子。



嬉しくてすぐに返信した。



何度かメールのやり取りをして


M子は

「彼女いないの?」と聞いた。


送ってから返信がくるまでドキドキしていた。



お昼休憩に返信があった。


『彼女いないよ』


このメールで完全に浮かれたM子。






それからすぐに

2人でデートする事になり


Jが車で迎えに来てくれて


ドライブをして


お互いに好きという事が分かり


付き合う事となった。




嬉しかった。



とにかくタイプで

顔を見ているだけで溶けそうになる。




今まで起こったレイプや裏切りなど


忘れるくらい


Jにどっぷりだった。




2回目のデートで

拒否反応が出る事も無く

Jと大人の関係になった。



処女をレイプで失い

稼げる仕事という文面に釣られて犯され


本当のsexはJとが初めてだった。



好きな人との行為は

こんなにも気持ち良いんだ




JとM子は

何度もsexをした。





Jの職場メンバーには

数人が住んでいる寮があった。



マンションの一室で

4LDKだった。




その寮で

Jと職場メンバー、M子、M子の友人


毎日のように集まっていた。





その一室で

JとM子は一緒に眠り

朝を迎える事が

日常になっていた。





キスマークを付けられる事も快感で

キスマークだらけでバイトしていた。




大好きな彼氏がいて幸せなM子


自他共に思っていた。



しかし

その幸せが崩れる日がやってくる。




バイトが休みのある日。



Jから着信があった。



いつものように


「はーい♡」とご機嫌で出たM子。




次に聞こえてきたのは

まさかの言葉だった。




『Jの嫁だけど』





よ、め??



一瞬

思考停止した。



が、すぐに理解した。



【彼女】はいないけど

【嫁】がいたのだ。






そしてTの時に経験した事のある


全てが無になる


という冷静な感覚になった。




M子の驚きが電話で伝わったようで


【嫁】というその人は


『本当に知らなかったんだね』と言いながら


横にいるのであろうJを怒鳴っている。




そしてM子は


会って話をする提案をした。



修羅場の幕開けだ。