2月のはじめ頃、 野畑に仏の座がたくさん咲いて、
あるおじいさんのことを思い出しました。
ちまさんが以前住んでいた家の隣に、一人暮らしのおじいさんが住んでいました。
おじいさんは早くにご家族を亡くされて、大きな家と広い畑のある広大な敷地に一人で暮らしていました。
一人になったおじいさんは、家の中で1匹の猫さんを飼っていたことがありましたが、ご自身の身体がだんだん不自由になって来た時、その猫さんは遠くに住む親戚の元に引き取られていきました。
そしておじいさんは、ちまさんの”ひとり地域猫作戦”で、不妊手術やケガの治療などしたものの、引き取り手がなく、已む無く元居た場所に放した猫さん達が、おじいさんの畑や納屋に遊びに来るのを、いつしか心待ちにしてくれるようになりました。
みんな居場所ができて良かったねって、当時ちまさんは救われた気がしたそうです。
ところが今から数年前のある冬の日、おじいさんが交通事故に遭って亡くなったという知らせが入りました。
ご家族のお墓参りに行った帰り道だったそうです。
それはちょうど、おじいさんの畑の畝の脇に仏の座が咲き始め、
猫達がいつもお邪魔させてもらっているお礼にと、ちまさんがお団子を買って届けた1週間後ぐらいのことでした。
当時、畑や納屋に出入りしていた猫さん達は、ちまさんがお世話していましたが、
偶然なのか必然なのか、おじいさんが亡くなったその年の暮れまでに皆死んでしまいました。
その後、おじいさんが居なくなって無人になった敷地には、ときどき他所から野良猫さんが流れて来るようになりました。
その中にはお腹の大きな仔達もいて、ちまさんがそこで去年までに保護したのは成猫さん3匹と仔猫さん6匹。
仔猫さん達には早くに里親さんが見つかりましたが、少々気性の荒い成猫さん達には見つからず、手術後、元居た場所に放すことも考えたましたが、その広大な土地がいずれ売りに出されるという噂を聞いて、ちまさんは最終的に残った成猫さん2匹を引き取ることにしました。
こうして猫部屋のメンバーになったのが、なつめちゃん と そうせきちゃんです。
(そうせきちゃんは後に ニコちゃん と改名)
新しい環境に慣れるまでしばらくの間、ケージ越しに先住のみーちゃんとおゆきが中心となって監督を務めました。
主を亡くし、手入れされずに荒れ果てた畑には、今年も仏の座があふれています。
近い将来、更地になって、新しい家が建つのは仕方がないことですが、野良猫さん達が安心できる場所が失われていくのは、少し切ないことですね。
次にここに住む人が、おじいさんみたく猫好きで優しい人だといいな・・・
by ゆき♀ (・・・+猫達♂♀)