妄想日記

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生まれてこのかた独身を貫き、逞しい妄想力を身につけた管理人による、妄想を惜しみなく露呈するブログです。

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episode.1 お祭りが好き(付き合いたての場合)
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"明日、時計台の下に四時に待ち合わせ"

2人が付き合ってから初めて送られてきたメールがこれだった。

美佳は昨日ウキウキして寝られなかった。
おめかししようと、浴衣を着てきた。
楽しみで、もう30分前に時計台に着いた。


今は4時26分。
時計台の大きな二つの針はそう指している。

美佳は若干の苛立ちを覚えつつ、待ち合わせの時刻を間違えたのではないかと
昨日のメールを何度も読み返していた。

その時だった。

人混みの中で「すみません」と言いながらこちらに向かってくる彼の姿が見えた。

「ごめん、遅くなって」
息を切らして、汗だくになりながら勇吾は言った。
美佳がどうしたの、と聞くと、人混みでなかなか辿りつけなかった、という。
美佳は、その光景を想像して吹き出した。

「なんで笑うんだよ」
「なんでもない。行こ」
すると、勇吾はふてくされたような表情になり、

「だめ。今日は俺が美佳を連れてくの」
そう言って、美佳の手を引き、歩き始めた。

「え、でもお祭り行くって言ってたじゃない」
「そうだけど、彼氏っぽいことしてみたいじゃんか」
そう言った勇吾の耳は少し赤かった。

前からよく大勢で遊んでいたが、二人きりは緊張して、お互いよく話せなかった。



すっかり重くなった口を先に開いたのは、美佳だった。
「何か食べない?」
「何食べたい?」
「焼きそば?」
「おし、食うか」
勇吾は美佳の手首から手を離し、手のひらを握り、歩幅を合わせて歩き始めた。


焼きそばを2つ買い、すぐそこにあったベンチに腰をおろした。
「あ、飲み物買ってくる、何がいい?」
「ウーロン茶!」
「買ってくるから、ここで待ってて」
そう言うと、勇吾は人混みの中に消えていった。

美佳はさっきまで握られていた右手を見つめながら、幸せな気分に浸っていた。

「あれ?お姉ちゃん1人?」
声を掛けてきたのは20代後半くらいの男の人だった。
「1人じゃないです」
「でも、今は1人だよね?お兄さんと話そうよ」

美佳は恐怖で何も言えなかった。
まだ勇吾の手の感触の残る右手をただただ握っていた。


「何浮気してんだよ」
男の人の怒号が聞こえてきた。
そこには、待ち合わせに遅れてきた時のように、息を切らして、汗だくな勇吾がいた。
勇吾がその男を睨むと、男はそそくさと逃げていった。

ウーロン茶を傍らに置き、勇吾は言った。
「何絡まれてんだよ…そんな格好してくるからだろ」
「だって、ちょっとでも勇吾に可愛いって思ってもらいたかったから」
緊張が解けたせいか、美佳の目からは大粒の涙がこぼれた。

勇吾は、Tシャツの袖で美佳の涙を拭きながら呟いた。
「可愛すぎんだよ…」
「え?」

勇吾が言い直そうとした時だった。
「だから、可愛」
ドーン、という爆音とともに、頭上に大きな花が咲いた。

「わー!花火だー!綺麗!」

涙も止まり、もう花火しか見なくなった美佳に呆れたが、
勇吾はそんな美佳をずっと見つめていた。

「勇吾!綺麗だよ!ねぇ見てる?」
と言って、ようやく振りむいた美佳に勇吾はキスをした。

「さっき言いたかったこと!」
「え…?」
「だから!もう十分可愛いから!それ以上どうこうされたらホントやばいんだってば」

今度は花火に負けじと勇吾が叫ぶ。

美佳は頬を染めながら
「私だってそうだよ…」
と呟いた。

勇吾が聞き返そうとすると、勇吾の頬にキスをし、
「なんでもない!」
と笑顔で言った。


End


※この話は全てフィクションであり、登場する人物、場所は架空です。







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