Cl(血清クロール:serum chloride)は、電解質成分の1 つで、細胞外液中にNaとともにNaClとして存在し、浸透圧や酸塩基平衡の調節等に重要な役割を果たす。Clは血中の代表的陰イオンで血清総陰イオンの70%を占め、Naと同様に、主にNaCl(食塩)の形で経口摂取され、血清Cl濃度は通常血清Na濃度と並行して変動する(ClとNaの血液中の比率は100:140)。しかしClは消化液中に多量に存在するため消化液喪失ではClのみ低値を示す。また、食後は胃酸として分泌されるため若干低値を示す。
陰イオンには、Cl・重炭酸塩移動といわれる調節機構が働いており、Clが減少するとHCO3-が増加し、Clが増加するとHCO3-が減少して陰イオンの総和が一定になるようになっているため異常値を認めた場合はアシドーシスやアルカローシスの有無を確認する必要がある。
○基準値
98-108mEq/L
○高値で疑われる疾患
・下痢、嘔吐、多尿
・アルドステロン欠乏
・呼吸性アルカローシス
・尿細管性アシドーシス
○低値で疑われる疾患
・下痢、嘔吐
・アジソン病
・呼吸性アシドーシス
・急性、慢性腎不全
・原発性アルドステロン症等
高Cl血症:全身倦怠感、食欲不振、悪心、頭痛、病的反射、仮性球麻痺、けいれん、意識障害
低Cl血症:全身倦怠感、口渇、頭痛、発熱、落ち着きの欠如、けいれん、意識障害