ピカピカと机の上で携帯が光っている。
マナの机だ。
夕方。友達だろうか?クミもさして気には留めない。
「クミ先生、タオルあった?」
「はい、ありました。これです、どうぞ」
先輩に促され、すぐに自分の仕事に戻る。
保育園の仕事など、日中に自分の机に向えるのは連絡帳を書くお昼寝くらいで他は稀。
クミはマナの携帯のこともすぐに忘れた。
「クミせんせー、ばいばーい」
ちらほらと迎えの母親がやってくる時間。
保育園が昼間とは違った忙しさになる。
「ソラくん、ちょっと風邪気味じゃないですかね。お鼻も出てるし」
「いやだわ。インフルエンザも流行ってるし・・・困るわね」
「園でも手洗いうがいはさせていますが、お家でも気をつけてあげてください」
「先生、保育園の閉鎖だけはやめてね。私たちまで仕事休まないといけなくなったら・・・」
働く母親も切実である。
太陽保育園でもちらほらインフルエンザの子が出ている。
学級閉鎖などになっては、母親達は働くことが出来なくなる。
母親達と同じような会話を繰り返しながら、クミとマナは声を掛け合う暇も無く次々とこども達を引き渡していく。
気がつけば19時を回っていた。
「ふぅ。疲れた。でも今日は割りとお母さんたち早かったね」
「珍しくこの時間で全員帰ってるもんね」
そこへ園長のケンジがやってきた。
「どう?二人、今日は早く帰れそうだし、木屋町の“パッション”でも行かないかい?」
「いいですね!マリ子さんのところですか」
二人の顔が明るくなった。
「あ」
クミがはっとした。
「そういえば、昼間マナちゃんの携帯光ってたけど見た?もしかしたら友達からお誘いじゃない?」
「え?全然見てなかった」
マナは机の上の携帯を手にとって開いた。
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