兎に角走れるところまで走ろう。
ナナは裏庭から表に出た。
後ろ手に繋がれた手錠が疎ましい。
まだ中から追っ手が来ないことを確認すると、ナナは公道に出て走り出した。
走りにくい・・・。
靴下からアスファルトの冷たさが凍みてくる。
何処に向えばいい?
そう考えながらも、足を前へ前へ出す。
近隣の住民の家に駆け込むか、その前に交番が見つかれば。
その頃鹿山は男二人とにらみ合っていた。
「お前のせいで小娘が1人逃げた」
「そりゃー、お宅らが悪いことしてるんだから。女の子の味方するのは当然でしょ」
鹿山のふざけた口調に二人が眉をしかめる。
三人の声を聞きつけて、数人仲居もやってきた。
「ここは宿泊者以外入室禁止ですよ!」
先ほど応対に出た仲居が鹿山に向って叫ぶ。
「さっき貴女、宿泊者はいないっていってたよねえ。この二人は何?」
飄々とした表情で鹿山が尋ねる。
「お泊りでもない方にお答えすることはありません」
仲居はきっぱりと言い放った。
「出ていってください。さもなくば、警察を呼びますよ?!」
「警察を呼ばれて困るのはどっちかなあ?」
鹿山は二人の男と仲居たちを見ながら言う。
「俺は全然困らないぜ。悪いことをしているつもりもないしね。女の子をよってたかって暴行しようとしてるあんたらの方がよっぽど困るんじゃないの」
早く逃げろ。もっと遠くへ。
鹿山はそう念じながら、なるべく時間を稼ぐように努めた。
先ほどの少女が出来るだけ遠くに逃げられるように。
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