「え?」
鹿山は思わず顔を上げた。
「ああ、はい」
仲居は見たところ、25,6だろうか。“妹”を探しているというのは先ほどの年配の仲居から聞いたのだろう。
「ここからもう少し離れた場所にも一軒、旅館があるんです」
「そうなんだ、ありがとう」
鹿山の顔が明るくなる。
「数年前までは寂れて全くお客さんも近づかない、というより知られていないような旅館だったんです。でも最近急に流行りだしたんです。改装もされてました」
「へえ・・それはまた急に」
「ええ。しかも気味の悪い噂があるんで、皆喋りたがらないんです」
「気味の悪い噂?」
「それはちょっと・・・私から言うのも勘弁してほしいんですけど」
「そう・・・」
そう言われたら、仕方が無い。
「その旅館、いつも若い女の子ばかり泊まっているらしいんで、行って見てください」
「ありがとう」
ビンゴだ。鹿山は確信した。
「前の道を左に行って、国道を道なりにいけばあります。バイクでしたら15分もかからないかと」
仲居は簡単に地図も書いてくれた。
鹿山はお茶請けの小さな饅頭を口に入れると、お茶を飲み干した。
身体が温かくなり、力が沸いてくるのが感じられる。
「ありがとうね」
「いえ、また、どうぞ次はお泊りにいらしてください」
仲居はお盆を抱えたまま、丁寧に頭を下げた。
「うん、かの・・・“妹”が見つかったら一緒にくるよ」
鹿山は会釈をすると、ヘルメットを掴んだ。
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