ブルン、とバスが止まる音でミーナの目が覚めた。

「宿に着きました!みんな荷物を持って降りてね!」

ケイの声が響く。

一行が着いた宿は一目で豪華な老舗と分かる純和風の造りだった。

「いらっしゃいませ」

女将と仲居がずらっと並んで少女達を出迎えた。

「お靴はここでお脱ぎになってください。揃えなくてもそのままで結構ですので」

仲居の一人がにこやかに案内する。

「すごーい」

「こんなところに泊まれるなんて」

「露天風呂ありそうだよねー!」

少女達がはしゃぐ。

「ここはガイドブックにも載ってない、知る人ぞ知る宿なのよ」

ケイは自慢げに行った。あとからジュリアと黒服の男二人が降りてくる。

ミーナはその男達を見て、あれっと思った。

どこかで見たことがある・・・

仮にも水商売の端くれだ。1回会った客は忘れない。

会ったことがある雰囲気を感じた。

“パッション”か、“回転★木馬”の時か・・・

記憶を辿るが曖昧だ。しかし男達は黒いスーツにサングラス。

店の黒服なら絶対に覚えている。しかしそれでは無い気がした。

ええー!思い出せないの、私?なんなのこれ。デジャブ?

必死に記憶を辿るが、思い出せない。

そのうち思い出すかな。ミーナは早々に諦めた。考えてもわからないことは考えない主義だ。

「じゃあ、食事は7時からなので、それまでは各部屋でゆっくりしていていいわよ。食事の時間になったら大広間にくること」

「はーい」

まるで女子高の修学旅行のようだ。学校にまともに行っていないミーナはちょっとわくわくした。

「楽しいねえ」

横に居たナナに声を掛ける。

「こーゆーの無理」

ナナからは連れない返事しか返ってこなかった。サヤも苦笑いをしている。

「渡辺ミナ様はこちらのお部屋です」

仲居がミーナを呼びに来た。

「はあい!」

ミーナは喜んで仲居についていった。


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