「部屋に帰ったらこんな置手紙だけ残ってて」

マリ子は鹿山から紙切れを受け取った。

「“暫く旅に出ます、探さないでください。ミーナ”」

強烈なクセ字で書いてある文字。

「通帳から100万引き出されてたんだ」

鹿山は肩を落とした。

「ミーナちゃんてカウンターに居た子ですよね」

クミが尋ねる。

「そう。前にも一度行方不明になっていて・・・それは連れ去られてたんだけど。今回は自主的なようね」

マリ子はため息をついた。

鹿山も心配だろうが、ミーナならしそうなことである。事件性は薄そうだ。

「今回のは自主的にどこか行っているんでしょう。心配ないわよ。そのうちひょっこり帰ってくるわ」

「前回のことがあるから心配なんだよ」

鹿山が頭を抱える。

「何か心当たりはないんですか?最近喧嘩して家出するとか」

マナが鹿山に聞く。鹿山は頭を振った。

「あいつと喧嘩なんて、一日100回くらいしてるから・・・」

「そ、そうですか・・・」

「それよりも」

マリ子は真剣な眼差しで言った。

「暫くってどういうことよ!明日も明後日も出勤予定なのに、私に連絡を寄こさず無断欠勤しようって訳?!」

「わー!!マリ子、落ち着いて!!」

憤って、メモを引き裂いて投げるマリ子をケンジがなだめる。

「ほっといていいわよ、何かあったら連絡があるでしょ」

「そうかなあ」

鹿山は釈然としない顔でカウンターの椅子に腰を掛けた。


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