「あー、気分悪い。俺、取材先近いから、仕事して帰るわ」

鹿山はがたんと席を立つと、自分のトレイだけを持ち上げた。

「ええ?今日一日オフだって言ってたじゃん」

ミーナが睨む。

「フリーランスは関係ないの」

鹿山も睨み返す。

「つーか、お前と居るとイライラするから」

かっと来たミーナも負けじと応戦する。

「勝手にすれば?あたしも買い物して帰るから。カヤマが一緒だと気になって出来ないからね」

もはや売り言葉に買い言葉だ。

「あと、今日仕事だから、遅くなる」

「そ」

鹿山は短く返事をして、店から出て行った。

「なんだよー」

ミーナは周りのカップルを睨みながら、冷えたフライドポテトをつまんだ。


「まさに35点じゃない」

笑い出しそうになるのを堪えながら、マリ子は言った。

「あの占い、当たりすぎ」

ミーナはグラスを磨きながら独り言のように呟いた。

夕刻の“パッション”。普段は時間ギリギリのミーナだが、30分以上前に着いた。

今日は鹿山と一緒ではなかったこともあるが、マリ子にいち早く話したかったのだ。

「好きよねぇ、女の子って、そういうの」

「カヤマとおんなじこと言う」

「だってそうじゃない」

「だって・・・」

そうミーナが言いかけたとき、“パッション”の扉が開いた。

顔を出したのは若い女性だった。

「あの、もう、開いてます?」

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