振り向くと、三上だった。

「なに、貴方またユリに頼っているの?」

「捜査で民間人に情報を求めるのは、至極当然」

「あっそう」

面白くなさそうに、マリ子は大皿のミニトマトを口に放り込んだ。

「やきもちを焼いてくれているんだとしたら、俺も出世したもんだな」

「ユリに焼いてどうすんのよ」

カウンターのなかでユリがくすくす笑う。

「俺は・・・エスプレッソを」

「はい」

ユリが後ろを向いて用意している間に、三上はマリ子に尋ねた。

「ミーナちゃん、見つかったのか」

「新宿にいるみたい」

「新宿?東京か」

「ええ」

「新宿には以前世話になった同僚たちがいる。詳しく調べさせておこう」

「お願い」

マリ子は冷めたコーヒーを口に運んだ。

「三上さん、東京にいたことがあるの?」

ユリが濃厚なエスプレッソを手に尋ねた。

「仕事柄、転勤は付き物でね」

「知らなかったわ、ずっと京都なのかと思ってた」

「エリートコースに乗るには、いろいろ経験させられるのよね」

「そんな道を目指しているわけではないが・・・また、そのうち飛ばされるさ」

三上はエスプレッソの小さなカップを片手に、苦笑した。