「そんな舐め方じゃ全然だめ」
「・・・ごめん・・・」
「へたくそ。もういいわ」
「・・・ごめん・・・」
リョウジが自分の体から、アミを引き離す。
無言でバスルームに向かう背中を見ながら、アミはため息をついた。
そりゃリョウジがモテるのはわかっている。
女も自分だけじゃないのもわかっている。だけどもう少し恋人同士のような関係になりたいと思うのは贅沢なんだろうか。
シャワーを浴びたリョウジは、不機嫌そうにアミを見咎める。
「まだ居たの。用事終ったんだから、帰れば」
「シャワー、貸してね」
リョウジの台詞はいつものことだ。そんな言葉は無視して、アミもバスルームに向かう。
本来なら愛の情事であるはずのことを、“用事”の一言で済ませる。
酷いなあ。
わかってるけど。
ちいさなため息はリョウジに聞かれないように、吐(つ)いた。
「俺、もうキョウコんとこ行くし。勝手に出て」
上質な仕立てのシャツに腕を通しながら、アミのほうも見ずに言う。
アミも振り返らずに返事をする。
「うん」