「あいつ・・・手を煩わせるなと言ったのに」

五条渡りの付近で男たちが倒れているという連絡を受け、三上も現場に駆けつけた。

赤い革の屑をそっと拾って、ポケットにしまう。

刑事が現場検証中に証拠品を隠滅するのは重罪だが、誰かさんが厄介な目に遭うのも避けたい。

「こんな後始末、慣れたくないんだぞ。俺は」

「は?」

三上の独り言に、若い警官が素直に振り返る。

「いや、なんでもない。報告してくれ」

「はい。えー、向こうに1人倒れていた男は、所持品の名刺から、京阪スポーツの山田という男だということが判明。他、この辺りに倒れていた4人の男等の身元は現在調査中です」

若い警官が三上に説明する。

「京阪スポーツ?」

「はい、以前から児童ポルノの売買に関わっている疑いで目を付けられていた奴です。案の定、奴の足元には封筒が落ちていまして・・・少女の裸体の写真が大量に入っていました」

「ということは、なんらかの事件に巻き込まれた可能性があるな。その他の男たちも関係しているんだろう」

「おそらく」

「山田を含め、倒れていた男たちの容態は?」

「全員気絶しているだけでした。念のため近くの総合病院へ搬送されています」

「そうか」

また、新しい人物が出てきた。

京阪スポーツの山田・・・。京阪スポーツというと、どうしても鹿山のことも思い浮かんでしまう。

あいつも変なことに関わってないだろうな。鹿山が悪事に手を染めるなど有り得ない、と思いたいが、刑事という職業柄あらゆる可能性を探らなければいけない。

まあ、明日、“パッション”に行けば会えるだろう。その時に山田のことも含め、さりげなく尋ねたら良いか。

「しかし・・・」

「幸」が潰れて以来、妙な事件が続いている。

明らかに“裏”で何かが動いていることは確かだ。

15年前のような大事件に発展しなければ良いが・・・。

三上は白々と空けていく空を見上げながらため息をついた。