私が人間を嫌いになることは極めて稀である。

たいていの人付き合いはソツなくこなすことができる自信がある。

唯一、嫌った人間からメールがきた。大変困った。

かつての付き合いで何らかの不都合が生じ、現在となっては可能なだけ関わりたくないと思う人から突如メールが来たとする。

しかも強制的にかつての面々を一同に会してのパーティーを企画しているという。

私は彼が嫌いだ。
会話を自分の優位に進めようとしかせず、自分の価値観に逆らう人間の人格を破綻した論理で否定しにかかる男である。

少なくとも、学生時代彼との会話で合意のもとにまともに結論を出せた記憶がない。

更に言えば、自分の後輩や同級生にところ構わず手を出し、痴情の噂が絶えない上にヤリ捨てとDVの常習犯というオスの風上にも置けない奴であった。

オーケー、私がメールを受け取った瞬間の正直な感想を述べよう。

「OH...何を企んで居るんだこの腐れDICK HEAD...私が貴様の企画した会に参加してまともに楽しめた記憶など蚤の爪程もありはしないぞこの糞変態野郎。」
とはさすがに返信出来ないため、予定された日にのっぴきならない用事が有るためわざわざそっちへは行けない的な事をやんわりと返信したのだが

いまだに「わかった」の一言も連絡がないので(なんだこの鼻毛ビョンビョンの顔面凶器は生意気にも私の文面を一瞥するなり『ソウカアイツハコナイノカ、HAHAHA』などとほくそ笑んで私のガラスのハートを弄んでいるに違いあるまい)などとしみったれた邪推に邪推を重ねていたのだ。


が、よく考えればむざむざ嫌いな人間に会いに行くために大切な休日を潰すなど愚の骨頂ではなかろうか。

仲直りのチャンスとも取ることはできようが、もとより嫌いな人間である。仲を直す義理もなければメリットもない。


よって私は嘘をついたが、そのことに罪悪感は生じなかった。


ただ、罪悪視すべきではあるのかもしれない。
4月1日でないのに、嘘をさらりとついてしまったのだから。


とにかく、あの男とだけは顔を合わせたくない。