おそらく、その瞬間私のグラスを震わせたそれは処女の誓いを破る後ろめたさに似た神聖性…ある種の禁忌であったのだ。
否、処女というのは不適切だ。今思えば彼女自身、誓いを破る罪悪感に酔うことが出来るようになるまで同じ事を繰り返してきたのかもしれない。きっとそうだ。

ほの暗い蝋燭に影が揺らめき、目を閉じた彼女は慣れた調子で懺悔をつぶやいた。

当時まだウブだった私には、その光景は新鮮であり、神聖なものに映った。男と酒を飲む。ただそれだけの行為に限れば、多くの宗教では天にまします父への許しを請うまでもない筈なのだが…余程厳格な戒めのもとで生活しているのだろう。
まるで、背伸びして初めて酒を飲む小娘の眼差しではないか。…いや、まるで逆か!?

 キャンドルの暖色にうすぼんやりと照らされた女の頬は、私の3歳上とは思えないほどあどけなく見えた。
同時に、どこかしかの娼館に腰を据える、ただれた妖婦にも見えた彼女は、ダークラムの注がれたグラスを口に運ぶと、コクリ、と小さな白い喉を鳴らした。

どちらにせよ、甘い吐息であった。

たった一杯のラム酒さえも不義の罪を作るには充分だったのだ。

何故だか分からないが、彼女の桃色の頬を涙が伝い落ちた。

これは私が学生の時分、実際に経験した不思議な体験を、書き留めておいたものであり、フィクションではない。
今夢に見て寝ぼけ眼で書いたため拙い文で失礼。
また、この胸のつかえも飲みすぎた風邪薬の副産物だろうと思う。


あと、その彼女とは何もなかったので過度な期待はしないでくださいね。