新都心を歩いていて

何故だかふと
昔愛した人の香りがして
振り返ってしまった

忘れるはずもなく
香水でもなく明らかに
その人の臭い

ここにいるはずもないのに



いつか一緒に過ごしたことのある街だから
昔の記憶がフラッシュバックしたのだろうか


愛した人との思い出は
時間の経過とともにいつだって
痛みの記憶を消しさり美化するように
楽しく過ごした素敵な日々に塗り替えられていく


今はただ彼に幸せになってほしいと願う
美しい思い出は、思い出のままで
このまま永遠に
私の記憶の中だけの住人
このままずっと
会えなくていい



彼以上に惹かれる人には
もう出会えている
強がりではなく
彼のことなどむしろ既に私にとっては
過去の存在な訳で
一緒に幸せな未来を想像する相手でもなく
昔のような特別な感情がある訳でもない
思い出す道理もないはずなのに



なのになぜ


なぜ




あの人もこんな風に
私のことを思い出すことなどあるのだろうか