本日は、最近読んでおもしろかった書物です本

 

 

 ・東野圭吾 「天空の蜂」(講談社文庫,1998)

 

 

 著者は1958年大阪市出身、1985年作家デビュー。

 今年1月には 「クスノキの番人」 のアニメ映画が公開になるなど、映像化作品多数。当代最高峰の人気作家のひとりと言えましょう。意外にも1990年代半ばまではヒットに恵まれなかったとか。

 

 本作は1995年11月の書下ろし単行本が初出。自分が(ブックオフで)買ったのは文庫68刷版なので、長く読まれてるのがわかります。‟カタルシスが味わえる社会派ミステリー” をリクエストしたらGeminiがおススメしてくれました。

 

 

 掃海ヘリコプター・ビッグBの開発に関わったエンジニアの湯原は、妻子を伴い防衛庁への納入セレモニーに参加。ところが式典の直前、ヘリが何者かにハッキングされ自動操縦で発進。不運にも、湯原の息子高彦がいたずらでコクピットに乗り込んでいたときでした。

 

 ヘリは福井県敦賀市、稼働中の原発に到達。天空の蜂を名乗る犯人の要求は、日本中の原発の停止でした。燃料が切れれば高速増殖炉・新陽に落下。高彦救出の方法を探る湯原たち技術者と、要求に対して政府が下した決断は―

 

 

 なんと、30年前に原発問題を真正面から扱ったクライムサスペンスでした。620頁もの読みでは緊迫感じゅうぶん。

 しかも、東日本大震災から15年経った現在からしても、違和感だったり付け加えるべき要素はまったくありません。おそるべき作家さんの筆力であり取材力です。

 

 

 

 

 ・柴田よしき 「RIKO -女神(ヴィーナス)の永遠-」(角川文庫,1998)

 

 

 著者は1959年東京出身、青山学院大卒。京都で19年暮らし、現在は神奈川暮らし22年目。

 本作は1995年5月の単行本が初出。横溝正史賞を受賞したデビュー作です。こちらはブロ友さまのおしょうさんがおススメしてくださいました。

 

 

 警視庁のエリートコースから外れ、今は新宿署の捜査一課で主に性犯罪を扱う村上緑子(リコ)は、防犯課が押収した複数の裏ビデオに、未成年男子が凄惨に犯されている映像が映っているのに慄然とします。これは演技じゃない、犯罪の記録だ―

 

 本庁の高須警部補指揮のもと、部下の鮎川刑事と捜査を始めるリコ。事件を追うと、ビデオに映る男子が続々と殺害されていることがわかります。リコに待ち受ける陰惨な事件の行く先は...

 

 

 約390頁長編。本格警察小説で、容赦ない残酷な事件の全貌に息を飲むばかりの読書時間でした。ミステリーと同時に、オス社会の権化・警察署で苦闘する女性刑事の葛藤が描かれています。なんせ、エリートコースから外れた理由が高須との関係にあり、今は鮎川刑事と深い仲という。

 

 巻末の解説文には、「日本の女性作家たちが...選んだテーマはジェンダーにまつわる諸問題であり、具体的には恋愛と性愛である」 と今からするとすさまじく侮蔑的に思える批評が寄せられていました。30年前の世の価値観には違和感ありまくりです(笑)