HM/HRの歴史 | BIRKENHEAD ERKY 旧ブログ 2006~2013

【HM/HRの歴史】


60年代後半、ブルース・ロックの音がでかくなりハード・ロックが誕生。

1972年
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CACTUS - BAD STUFF


時代が進むにつれ、ブルース色はロック性へと昇華(基本的には同じもの)、70年代ハード・ロック黄金時代が到来。

MONTROSE - "SPACE STATION #5"



70年代末はパンクに押されていたが、
80年代初頭、NWOBHM(ニュー・ウエイヴ・オブ・ブリティッシュ・ヘヴィー・メタル)ムーブメントが起こり、ヘヴィー・メタルすなわちスピーディでパンキッシュな勢いのある攻撃的ハード・ロック(IRON MAIDEN、SAXON、TYGERS OF PANTANG、DEF LEPPARD、TANK、RAVEN)が流行。

Saxon Motorcycle man


しかし、ブームになるにつれ、勢いだけで音楽性の低いヘヴィー・メタルが増え、音楽性が低下。
その後、音楽性を上げようとヘヴィー・メタルはメロディアス・ポップ化。

そしてついに80年代中期~後期、ポップでメロディアスなヘビメタル・ブームとなり、華やかで明るいゴージャスなポップ・メタルの一大ムーブメントとなった。(POISON、WARRANT、NELSON、TNT、MOTLEY CRUE、BON JOVI、DEF LEPPARD、EUROPE、YNGWIE MALMSTEEN、WHITE LION etc...)
1988年~1990年あたりになると、ロック性の希薄なポップメタル~(プードル)ヘアー・メタルが飽和状態となり、さすがに1989年頃にはヘアー・メタルはダサいという風潮に。

poison talk dirty to me video

TNT - Intuition



90年代になってからは、メロディアス・ポップ化したヘヴィー・メタルに対し、グランジ=ハード・ロックの復権がおこり、ロックに飢えていた欧米のロック文化圏の国々では爆発的に受け入れられたと同時に、グランジ・ムーブメントの席捲によりゴージャス・ポップなヘビメタは死滅。

Pearl Jam GO

Stone Temple Pilots - Sex Type Thing


グランジはその後、モダン・ハードロックへと受け継がれ、ラウド&ヘヴィー・ロック、メタルコアと共に、ハード&ヘヴィーの歴史は積み重ねられ、ハード&ヘヴィーは不滅。

Stone Sour 30-30-150



しかし、ヘビメタ・ブームは日本の場合、ハード&ヘヴィーな部分に惹かれてのブームではなく、ポップでキャッチーなメロディーに惹かれてのブームであったため、ポップ性の無いハード&ヘヴィーな次のグランジには行けず。
つまりロックが文化として成立していない日本のHM/HRファンはロックを求めるロック・ファンではなく、哀メロ・美メロ・泣きメロを愛するメロディー愛好家ポップス・ファンなので、グランジ=ハード・ロック復権には興味がなく、むしろグランジによって死滅させられたポップでメロディアスな80年代メタルのほうを理想としていたから、グランジには進めなかった。

そのため日本のHM/HRメディアは、欧米のメインストリームとは全く無関係に、日本人へビメタ・ファン好みのHM/HRを世界中から発掘して、日本の市場だけで売ればいい・・・いわゆる「ビッグ・イン・ジャパン」を誕生させ、日本独自の供給を続けた。
つまりBURRN!は、グランジには行かず、80年代メタル育ちの日本人の感性にあうジャーマン・メタルやネオクラなどの音楽を探し出し、世界的な動向とは全然関係の無い日本独自のHM/HRシーン/マーケットが確立。
ヘヴィーなロックよりもメロディアス・ポップなものを好む日本人へビメタ・リスナーの需要に応えイングヴェイ・マルムスティーン、ROYAL HUNT、HAREM SCAREM、FAIR WARNING などといった「ビッグ・イン・ジャパン」が生まれたわけである。

Fair Warning - Burning Heart (PV STEREO MIX)

このBURRN!によって形成されている、いわゆるこの日本のHM/HRシーンの80年代メタル嗜好は今も続いており、現在も80年代メタル路線及びその延長路線の北欧やドイツなどのメロスピ、メロパワ、メロディアス・ハード、メロデス、美旋律様式美、ネオクラシカル、ゴシック・メタル/シンフォニック・メタル等が主流ある。
で、だいたい皆、同じもの=YNGWIE MALMSTEEN、DREAM THEATER、IRON MAIDEN、JUDAS PRIEST、HELLOWEEN、MTALLICA、FAIR WARNING、MOTLEY CRUE、BON JOVI、DEF LEPPARD、WHITESNAKE、ARCH ENEMY、ANGRA、CHILDREN OD BODOM、SONATA ARCTICA、KAMELOT、WHITHIN TEMPTATION、NIGHTWISH等を聴いている。

Helloween - As Long As I Fall (2007)

Within Temptation - Angels





以上を簡単にまとめると、世界的には、
主流ハード&ヘヴィーは、(70年代)ハード・ロック→(80年代初頭)NWOBHM→(80年代)ヘヴィー・メタル・ブーム→(90年代)グランジ→(90年代以降)ラウド&ヘヴィー・ロックと、時代と共に変化し続けている。
しかし、BURRN!によって形成されている、いわゆる日本のHM/HRシーンにおいては、90年代以降も80年代メタル路線及びその延長路線の北欧やドイツなどのメロスピ、メロパワ、メロハー、メロデス等が主流あり、ハード&ヘヴィーの現在の主流(GODSMACK、DISTURBED、SEVENDUST、AUDIOSLAVE、SLIPKNOT、KORN、LINKIN PARK、PUDDLE OF MUDD等)を聴いているのではない。
しかしそのことにより、いわゆる日本人HM/HRファンは80年代メタルを聴いて育った今の30歳代から40歳代の特定の固定された人達に限定されてしまい、どんどん高齢化が進んでいる。
それが、BURRN!を中心とする日本の洋楽HM/HRシーンの現状である。

ただし、日本でも、一般のイマドキの若者ロック・シーンにおいては
SLIPKNOT、DISTURBED、SYSTEM OF A DOWN、GREENDAY、FOO FIGHTERS、NICKELBACK、GODSMACK、KORN、LINKIN PARKなどのラウド&ヘヴィー・ロックが人気である。

Slipknot - Before I Forget

そして、最近の若者向けのメタルは、KILLSWITHCH ENGAGE、SHADOWS FALL、ALL THAT REMAINS、GOD FORBID、DIECAST、DARKEST HOUR、BLOODSIMPLE、MASTODON、AVENGED SEVENFOLD、TRIVIUM、SANCTITY、BULLET FOR MY VALENTINE、LAMB OF GOD、HATEBREED、HELLYEAH、ATREYU等の新世代メタルが中心である。

Killswitch Engage-My Curse