木村カエラ @ 横浜BLITZ | BIRKENHEAD ERKY 旧ブログ 2006~2013
 
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Rockin’onのライヴレポート (2つ)
 
 
木村カエラ @ 横浜BLITZ
2011.08.03
 
ベスト盤ツアー以来1年4か月ぶりのワンマン・ライブ! その間にも新しい作品は発表されていたし、最近は他アーティストのステージへのゲスト参加があったりもしたし、別に病気療養とかアーティストとしての活動停滞でもなく、結婚&出産という人の営みとしての喜ばしい出来事によるブランクなので「復活」とか「再起」というのも何かちょっと違う気がするのだが、こういうときはどういうフレーズを当てればしっくりくるのだろうか。何しろ人生の大きな節目によって、アーティスト性を含めた人格丸ごと大きな成長を遂げて帰って来たに違いない。「産休明け」もなんか温度が足りない気がするしな。こういうときのための便利な言葉が用意されていないということが、まだまだ今の社会の未熟さを物語ってはいないか。ちなみに今回の公演タイトルは『Welcome Home Tour 2011』。(目下の予定では)1公演のみのスペシャル・ライブなのに「ツアー」。さすがに気が利いている。

というわけで、本格ライブ活動は横浜BLITZでのワンマンからスタート。デビュー時期からレコ発ライブなどで使われてきたこのライブ・ハウスで、何より「木村カエラ現象」の爆心地とも言えるこの横浜で、新たな一歩が踏み出されるという事実がまた興味深い。つまりそういうことである。「またやってやる気」がマンマンなのである。結論から言ってしまうと、見事にそういうライブだった。以下ライブレポートを進めるにあたって、今後各地での大型フェス転戦が予定されていることを考慮し、あまり演奏曲タイトルには触れないこと、またセット・リストについては、出演が予定されている『SWEET LOVE SHOWER 2011』終了後の8/29(月)午前0時に追加掲載するということを、どうかご了承頂きたい。

開演するステージを前に、待望感を限界まで募らせてしまっているファンは、先にバンド・メンバー(ギター=しのっぴこと渡邊忍&アイゴンこと會田茂一、ベース=ようちゃんこと村上洋一、キーボード=テリーこと中村圭作、ドラムス=キャシーこと柏倉隆)が登場した時点で割れんばかりの大歓声だ。そしていきなりラウドでパンチの効いたイントロが響き渡り、ネイビー・ブルーで揃えたザ・フーのTシャツとスカートという軽やかな出で立ちで、飛ぶように大きなスキップを踏み姿を見せる木村カエラに対しては大歓声が絶叫に変わる。オープニング・ナンバーには、ちょうどこの日がリリース日となっていたニュー・シングル曲“喜怒哀楽 plus 愛”を叩き付けるのだった。柔らかな包容力の愛ではなく、本来がロック・アーティストである木村カエラを全開にした爆発的な愛の形が《抱きあって 喜びも悲しみも怒りも 愛になってしまえ/いつだって 誰よりも何よりも 君の事思ってんだ》とダイナミックに描かれる。《get ready!》の威勢の良いフックが、リリース日であるにもかかわらずフロアに広がっていった。

さて、今回のライブは夏フェス転戦シリーズを見越したフライングスタート的な意味合いを持つステージでもある……と個人的に予想していたのだが、序盤からパンキッシュなサウンドが次々に繰り出され、ビートが弾け飛び、フロアには一面の熱を帯びたハンド・クラップが鳴り、何よりもカエラ自身が腕をぶんぶんと振り回して今にもステージの渕から足を踏み外しそうなほど身を躍らせながら歌っている。全然違うな、これは。広大な屋外ステージではなく、明らかにこのライブ・ハウス規模に見合った、この一夜に掛けるロックのライブである。「みなさん、『Welcome Home Tour 2011』へようこそ! そして、そして……ただいま! ヤバいね、興奮するね。この日を待っておりました。ライブ・ハウスでライブが出来て本当に嬉しいね。ライブってどうやってやるんだっけ?って気分だったけど、出たらけっこう出来るね! せっかくライブ・ハウスに来たんだから、今日は古い曲からシングルから用意してきてるんで、最後まで楽しんで」。

そして今度はけたたましいシンセ・フレーズとともに再び全速で走り出す。爆笑だ。これは嬉しさ込みの笑いである。もう、木村カエラという人が、ステージの上でいかに「生きて」いる人なのかということが良く分かる。ライブ星人なのである。「出たらけっこう出来る」って、そもそもそう言える人は限られている。そしてこちらも彼女自身が語ったように、セット・リストが最高におもしろい。ヒット・シングルはあるし、そしてカップリング曲やアルバムの印象的なナンバーを絡めて、大きな波形のような流れをうまく作っている。で、とにかく前半戦はロック・モード。ときに疾走し、ときにバンドの一体型リフで突き上げられ、それをカエラが全身で乗りこなしてゆく。さすがに最初はほんのちょっとだけ、ブランク明けにそんなに飛ばして大丈夫か、という思いが脳裏をよぎったが、すぐにバカバカしくなってやめてしまった。だって、もともとこういう人だったじゃないか、木村カエラは。

「大丈夫みんな!? 大丈夫か。興奮してるのは私だけか!? でもこうして会ってると、久しぶりって感じが、しなくない? そうでもないか。でも、待っててくれる人がいないと、ライブ出来ないからね。ありがとうございます」。ここで、ふいにフロアからは「“ホットペッパー(の唄)”やってー!」の声が。「ムリムリムリ! 出来ないよ! あ、思い出してきた。そうだった。ちょっと距離置こう」と後ずさりながら拒否するものの、オーディエンスの盛り上がりはもはや手がつけられない事態になっている。「みんな、“ホットペッパー(の唄)”聴きに来たの?」と抵抗を続けるも遂に観念したか、おずおずと小さな声で歌い出した。オーディエンスも大喜びで一斉に歌い、しのっぴも即座にギターを合わせてゆく。全員グッジョブである。「なんだ、みんなが歌いたいんじゃん」。それにしても、ふと振り返ってみると、彼女はとてもオープン・マインドなアーティストになった。デビューしたばかり頃、それこそ横浜BLITZで初めてワンマンを行った頃の彼女は、ファンに対しても警戒心剥き出しでトゲトゲとした立ち振る舞いを見せ、そのことを『saku saku』でネタにされたりもしていたのだった。

ステージ中盤は、まるでそんな彼女の大きな変化を証明するかのように、エッジの立ったロック性よりも彼女の多彩なポップ・マジックが繰り広げられる時間帯になった。寓話的で少女性を感じさせる作詞により木村カエラならではの心象を鮮やかに描いてゆく曲や、しのっぴのトロピカルなギター・フレーズとスウィング感溢れるテリーのピアノ・プレイ、そしてそのピアノに連弾でカエラが参加して見せ場を作る曲と、アルバム収録曲においてさえ大きなピークを作り上げてみせる。歌唱力はもとよりキャリアを重ねるごとに次々に新たな才能を見せつけ、もちろん異様に作家性が強く音楽的に高度なシングル曲もヒットさせ続ける(今更付け加えるまでもないだろうが、彼女はあの端正な風貌だから楽曲がヒットするのではなく、あの風貌があった上でこそ冒険を恐れないのだ)。そうして人々はいつしか木村カエラを信頼し、同時に木村カエラはリスナーを信頼したのだと思う。

「もう後半戦です。ビャッとやって、みんなビャッと帰る、みたいな」。疲れ知らずに再びアッパーな名曲の連打でレッド・ゾーンに持ち込んでゆく。もう、ブランク明けだろうがなんだろうが、彼女の底なしのバイタリティには驚かない。彼女はライブの星の人で、音楽を人々と分かち合う事で成長してきた人なのだから。ただひたすらその張りのある歌声と突き抜けるようなシャウトを浴び、木村カエラの世界にどっぷり浸って楽しめばいいだけだ。あーあー、でももうお母さんなんだから、スカート姿でそんなに高く足を蹴り上げちゃあ。本編最後のナンバーがビシッとフィニッシュした瞬間、誰からともなくウワアッ!!と、地鳴りのような歓声が広がった。

アンコールで、彼女はこう告げていた。「出来る限り曲をやろうと思って、大丈夫かな、と思ってたんだけど、あっという間だったね……最高の復帰ライブです! また、頑張るからね! みんな、頑張ろうね!」。20曲を越えるライブを締めくくるように投げ掛けられたその言葉がすべてだった。その言葉は、今の世の中ではむしろ軽々しく口にすることの出来ない言葉だ。木村カエラはその言葉を告げるためにステージに戻り、完璧なパフォーマンスをもってその言葉を告げるための場所を作り上げたのだ。太陽が、また昇った。そう感じられた。日本は以前にも増して、今後の木村カエラから目を離さない方がいい。深く頭を下げ、投げキッスを連発しながら、彼女は去っていった。さあ、夏フェス転戦シリーズは、ROCK IN JAPAN FES. 2011から始まる。8/6(土)の午後、GRASS STAGEに登場予定だ。こちらもぜひ楽しみにしていて欲しい。(小池宏和) 
 
 
木村カエラ  -  Level 42
 
 
 
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おかえり、カエラ  大成功の復帰ライヴ
 
いきなり新曲“喜怒哀楽 plus 愛”からスタート!
バッキバキで容赦ないロックチューンで、ガンガン腕を振り上げ、エネルギッシュに歌うカエラの姿が!

もう本当に、この日をどれだけ待ち望んだか〜!という熱気がオーディエンスはもちろん、そして誰よりカエラ本人からブワッと立ち上る圧巻の幕開けだった。ああ、またカエラと一緒の時間が過ごせるんだ!という喜びとともに、それを上回る興奮でフロアはいっぱいに見えた。

結婚と出産という大きな出来事を経験し、
実に今日が2010年3月の武道館以来、1年4ヶ月ぶりのワンマンライヴとなった木村カエラ。
本格的な復帰ライヴでありながらも、全然ブランクを感じさせないパワフルさはさすが。
「Welcome Home Tourへようこそ!そしてただいま!」という第一声、さらに「やばいね、興奮するね!この日を本当に待っていました。ライヴってどうやってやるんだっけと思ったけど…出たら意外とやれるね!」と本当に嬉しそうだった。
復帰ライヴにもかかわらず、うかうかしてるとこちらが置いてかれそうになるほどぶっ飛ばしていくアクセル全開の序盤、さらにカエラの「歌の力」が存分に発揮された“ワニと小鳥”やアコースティックバージョンの“Butterfly”、朗らかな大アンセム“リルラリルハ”など、いろんな表情が満開だ。
ステージで弾けるように歌い踊るカエラは、まるでリズムそのものだった。

MCでは観客からの一言一言に反応して答え、まさかの「ホットペッパー」コールに「ムリムリムリムリ!」と言いながら、最後には観客のしつこい要望に折れてしっかり歌って踊って見せてしまう…というサプライズな一幕も。
カエラも「同窓会みたい」と言っていたけど、本当に久しぶりに親友にあったかのようなあたたかな会場で、オーディエンスとの距離がめちゃくちゃ近い。それでいて1ミリの甘えもないパフォーマンスを繰り広げる覚悟は感動的。
こんな身近で最高のエンターテイナーは、やっぱりカエラしかいないのだ。

最後には「最高の復帰ライヴです!これからもがんばるからね」「泣いちゃいそうだ、なんか」と感無量な様子。
アンコール最後の“happiness!!!”も温かかった。

そして帰りには、お客さん全員に写真のお土産まで。
あっというまの2時間だった。
詳しくは、明日アップされるRO69のライヴレポート、そして8月30日発売のJAPANに掲載するレポートをお楽しみに!

そしてカエラ、次は8月6日のロックインジャパンに出演です!(福島)