KOЯN ライヴ・レポ with ASKING ALEXANDRIA etc. | BIRKENHEAD ERKY 旧ブログ 2006~2013
 
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待っていたのはこの歪みと叫び! 
ヘッド復帰後初のLA公演に、KORNの新たな黄金期を見た!!
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KORN
October 10th, 2013 at The Wiltern, Los Angels
 

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10月10日、米ロサンゼルスの老舗会場、The Wilternで、KORNがライヴを行った。
これはバンドにブライアン“ヘッド”ウェルチ(g)が約8年ぶりに正式にメンバー復帰を
果たしてから…いや、2012年5月に行われたフェスでの復活ライヴが行われて以降、
ロサンゼルスでは初となるライヴだ。
おりしもニュー・アルバム『THE PARADIGM SHIFT』発売週ということもあり、バンド
はライヴの2日前に米有名深夜番組「Jimmy Kimmel Live」に出演。新曲“Never
Never”と名曲“Blind”のパフォーマンスがネット放送された。その日のステージには、
巨大な“KORN KAGE”が登場していた。全米に檻に囚われたファンの異様な光景が
放映され、興奮がさらにかき立てられていた。98年のFAMILY VALUES TOURでもお
目見えした、まさに伝説のセットだ。それが15年の月日を経て復活するだけでなく「LA
公演にも登場するぜ」と予告されたのだから、ファンの興奮は必至!  実際、KORN
KAGEに入る権利があるのチケットは、あっという間に完売していた。

当日、開場時間近くには会場の外をグルリと囲みながら待つオーディエンスの長蛇の
列は、厳重なセキュリティチェックのため、開演時間になってもまだ動かない。このま
まではオープニングのLOVE & DEATHに間に合わなくなると思い、心苦しくはあったが
同行カメラマンの撮影パスでカットインすることに。入場すると、ステージには明らかに
巨大な檻を隠しているだろう漆黒のバックドロップが! すでに心が躍っていた。

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オープニングのLOVE & DEATHは予定時刻8時きっかりに登場。KORNファンの方
ならご存知だろう、ヘッドがヴォーカルを務めるバンドだ。ここでのヘッドは、終始歌に
集中。ギターを抱えていない分、おなじみのスーパーロング・ドレッドを振り乱すアク
ションはワイルドで華があるし、そして何よりヴォーカルがいい! 集まっていたファン
の中には、ヘッドのバンドと知らずに見ていた人もいた様子だったが、次第に状況を
把握した人々からの熱狂的な歓声が会場を包み始めた。ヘッドのヴォーカリストとし
ての質の高さ、その彼が演奏を任せているのも納得の、地底揺るがすパワーと確かな
スキルを持ったバンドメンバーたちに、惜しみない称賛とモッシュピットが捧げられた。
「あの曲を“Whip It Good”なメタルソングにするためにひとつになろうぜ」と、アルバム
『BETWEEN HERE & LOST』(日本盤未発売)にも収録されているDEVOの名曲“Whip
It”のカヴァーを披露。軽快なアップテンポの原曲を真逆に解釈したような、ドープで退
廃的なインダストリアルメタル・バージョンが最高! 「God Bless」と言ってステージを
去る最後の瞬間まで、ヘッドの魅力が満載だった。

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続いてはASKING ALEXANDRIA(AA)。ほかの2組と毛色は違うものの、今年9月に
米コロラド州でのみ行われたFamily Values Tourに出演したバンドだ。最新作『FROM
DEATH TO DESTINY』のストリッパーのイラストとゴシックなテイストをアンプなど随
所に配置。今のハリウッドを象徴するかのような、アート面のこだわりからして素敵だ。
LOVE & DEATHのときとは違い、若い女性の熱狂する声が炸裂するのは当代きって
の美形バンドならではといったところか。
“Breathless”で一瞬音をブレイクさせてダニー・ワースノップ(vo)が「Scream for me,
ladies」と一言放っただけで、発狂したかのような女性たちの声がバースト! 序盤こそ、
そんなバンドの姿を斜めから構えていたオーディエンスが多かったが、その耽美さとエ
クストリームさが同居する世界に徐々に魅入られていく様子が、はっきりと見て取れた。
最新作でエレクトロコアの枠を超え、広くロックやメタルファンにアピールできる楽曲を放
ち、見事全米初登場5位をマークしたAA。それもKORNのライヴという、普段よりも年上
のリスナーを掴むことが重要とにらんでのことだと思う。その結果、「オレたちが初めて
書いた曲」といって終盤に披露したエレクトロコアの名曲“The Final Episode (Let's Change
Channel)”も、ラストの“The Death of Me”も、年齢層不問であちこちに凄まじいモッシュ
ピットを発生させるほどだった。

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とはいえ、やはりKORNの盛り上がりは別格。この日の会場のフロアは段々畑の様
な形で、大きなサークルピットもウォール・オブ・デスも起こし辛いものだった。しかし
LAのファンにとって、ヘッドが復帰して初めてのショウであるというだけでなく“Blind”、
“Twist”、“Falling Away From Me”と、頭3曲でいきなりの大玉打ち。会場の形などお
かまいなしに、後ろの高台からTシャツ破いて乱闘へ飛び込む男性や、あちこちで発
生するどつき合いのケンカ収拾に大忙しのセキュリティ、自制が利かなくなり周囲に
ぶつかりまくるメキシカンのカップルなど、落ち着いて観られる場所などありやしない
ほどの爆発を見せた。2年前に『THE PASS OF TOTALITY』を伴って行ったハリウッド
公演を遥かに超えるシンガロングとモッシュの嵐に、ジョナサン・デイヴィス(vo)もたま
らず満面の笑顔で「YEAH!!!!」とオフマイクで絶叫していたほど。
エッジーな音色でリードするジェームス“マンキー”シェイファー(g)のギターに、フィー
ルディー(b)の泣きのベース、重く不穏なヘッドのギターが重なる、“Blind”のあの妙然
たる時間がまさか再び目にする日が来るなんて…。また、“Shoots and Ladders”か
らメドレーで披露した“Somebody Someone”でのジョナサンとヘッドのヴォーカル! 
ヘッドがいてこそだと、改めて思い知った。

 
 
また、伝説のKORN KAGEはすごいインパクト。25人ほどのファンたちが激しい動き
を禁じられ、まさに“囚人”を演じているように見えた光景にも目を奪われたが、とにかく
目立っていたのがジョナサン・デイヴィスの三男だ。あのH・R・ギーガー特製のマイク
をブンブン揺さぶってステージで暴れ放題。しかも父のダンスを継承しているわ、曲も
よく知っているわで、この親にしてこの子ありとはまさにこのこと。たまらなく可愛かった
が、さすがにジョナサンも集中しづらかったらしく、息子を抱えて脇に下げていた。しか
し気付けばまたステージに上がってきて、の繰り返しだった。

個人的にLAでKORNのライヴを観るのは3度目だが、この日の盛り上がりは特別に感
じた。それはメンバーも同様だったらしく、ジョナサンが興奮を抑えきれない様子で、「LA
のオーディエンスは好きじゃなかったのに、今日のみんなは世界で一番だ!」と言わし
めたほど。そんな流れの中で会場全体に中指立てさせた後、歌い出したのが、これま
たヘッドの「ポクテー」(と聞こえる)コーラスもポイントの“Y'all Want A Single”という流
れに興奮しすぎて、もうおかしくなりそうだった。

こうして終始ヘッド復帰に喜びを感じまくりのライヴだったが、同時にKORNサウンドの魅
力とは何なのか、彼の復帰によって改めて認識するいい機会だったと思う。ヘッドという
大きな不可欠要素を取り戻した彼らは今、新たな黄金期に突入した。


文・宮原亜矢/text by Aya Miyahara
photography by Micah Smith(FUSEMEDIA)