
沖 仁
Jin Oki NHK教育「おはなしのくに」の音楽を担当しました。 | |
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撮影現場レポートはこちら! ↓ おはなしのくに 撮影現場リポート おはなしのくに は、一流の語り手が古今東西の物語を表情豊かに語る国語番組です。2学期の6回目は、宮沢賢治の作品「どんぐりと山猫」をお送りします。ある日一郎のもとに山猫から「あした、めんどなさいばんしますから、おいでんなさい」という葉書が送られてきます。山猫を悩ませる面倒な裁判とは?そして一郎はそれを解決できるでしょうか? 今回の収録は10/12(火)~14(木)に、千葉県鴨川市にある 大山千枚田 (リンクをクリックするとNHKサイトを離れます) という棚田で行いました。おはなしのくには、ふだんはスタジオで収録しています。屋外でロケをするのはかなり珍しいことです。 大山千枚田は、3.2haの敷地内に375枚もの田んぼが扇状に広がる広大な棚田です。ロケをしたときは秋まっさかりで、主人公の一郎が不思議な体験をする「うつくしい黄金(きん)いろの草地」にぴったりでした。撮影の当日は、天気が予想以上にくるくる変わり、出演者やスタッフが苦労していました。雨が降ってきたから屋内の撮影を、と準備していると晴れてきて、じゃあ外で撮影しよう!と準備をしていると、こんどは大雨が降ってきます。撮影は何度も中断。土がぬかるんでいるため、スタッフはみな長靴をはき、広い棚田を何度も何度も上り下りしながら収録を進めました。 今回の映像は、原作の味わいや不思議な世界を表現するため、色や光にこだわりました。特別のレンズやカメラで撮影し、奥ゆきのある映像になっています。 語り手を務めるのは、俳優のチョウソンハさんです。舞台を中心に活躍中のソンハさんは、こうした自然の中でのロケは初めて。たいへんでは?と尋ねると「天候も含め、『迷子』になりながらみんなで作り上げていく過程がとても新鮮で楽しいです!」と笑顔で答えてくださいました。ソンハさんは初めてこの台本を読んだとき、この難解な話をどう演じようか悩んだそうです。作品集の序文で宮沢賢治が「これらのわたくしのおはなしは、みんな林や野はらや鉄道線路やらで、虹や月あかりからもらつてきたのです」と書いているのを読み、「技巧に走って演じると、話の世界観を小さくしてしまう気がする。一筋縄ではいかないこの話の雰囲気が伝わるように、イメージを大事に演じよう」と思ったそうです。撮影の合間にも、賢治にはどんなものが見えていたのか、思いをはせたというソンハさん。その雰囲気のある演技に、ご注目ください。 11/3(水)には、スタジオで音楽の収録を行いました。今回音楽を担当するのは、フラメンコギタリストの沖仁さんです。フラメンコギターならではの奏法を駆使して、すべての音をギター一本で表現していきます。笛吹きの滝の流れる音や、どんぐりたちの塩がはぜるような音も、ギターで出しました。そして、この作品の中で何度も吹きわたる「風」―山猫が登場するときの風や、一郎が家に戻っていくときの風など―の響きは、聞き所のひとつです。沖さんは、「日本の農村の物語にスペインのフラメンコの音楽という組み合わせはちょっと意外かもしれませんが、広々とした棚田の自然の中でひとつになって、賢治の作品世界に通じる独特の表現になったと思います」と話してくださいました。 | |