ミュージカル『ストーリー・オブ・マイ・ライフ』

@よみうり大手町ホール

2024/11/12(火)14:30


アルヴィン:山崎大輝

トーマス:小野塚勇人






SOML、3演目。
今期はこの1回のみの観劇です。
新ペアというか大輝くんのアルヴィンが観たかったので!
スリルミーでは「彼」だけど、SOMLではアルヴィンになるの、めちゃめちゃ解釈一致。

合うだろうな〜〜の予想通り、アルヴィン役がよくハマっていました!
くるくると変わる表情と邪気がなく真っ直ぐで眩しくて、トーマスのような「いわゆる普通(に努力し成功を目指し生きている)」の人間のコンプレックスを刺激するような天才性を備えた人物。
多動性があるような役作りで、サヴァンとかそういう感じなのかな?普通ではない特別なものをもった存在に自然と見えました。
高身長の彼が大きく腕を伸ばしコートを広げ、舞台を所狭しと駆ける姿はかわいらしくて、それだけでなんだか愛おしい。スノーエンジェルの場面では明らかに狭そうでセットに足が当たって調整してた。

トーマス役の小野塚さんは初めまして。
ともすると、アルヴィンよりも真っ直ぐかもしれないと感じるくらいド真ん中ストレートな役作りで、山崎アルヴィンもそれを受けるから結果的にすごく観やすくて逆に新鮮なSOMLの世界になっていたように感じました。
終盤、綺麗すぎる涙を流すトーマスが印象的でした。
地声と歌声にやや乖離があるのがちょっと気になったかも。綺麗に確実に歌おうとしているようにみえた前半よりも、後半の精神的に追い込まれて取り繕えなくなってきているくらいのときのほうが良さが出ている気がしたかなー

歌唱に関しては、このペアは二人とも もっと声量ありそう(大輝くんは確実にある)なので、もう少し響かせて聴かせるような盛り上がりが作れると良かったんじゃないかと思うのですが……どうでしょう?
なんとなく全体的に平坦なまま流れるように進んでいってしまっていた感じがあって、良曲がちょっと勿体なかった。物語が進むにつれ光るものが増えてきたので、前半の底上げというかバランスがもう一歩ほしい。

でも、山崎アルヴィンのラストシーンが本当に嬉しそうで儚げで、見ていてふわっと心が軽くなった。
キラキラ光る雪が祝福のように降りそそぐ終盤も心地よくて、切ない物語ではあるけれどやさしい手触りに仕上がっていて……SOMLってこんな話だったかな…???と、むしろ新鮮に感じるくらいでした。


終了後にステージセット解説あり。
・SOMLは写実と抽象のいいとこどりのセット。
・冒頭、葬儀場の壁が取り払われて、トーマスの脳内世界に入るようなイメージ。
・だから、枝を投げ込む滝の写真が棚の奥に飾られてたりする。
・蝶の標本は本物。両サイドの本や紙の束などの配置も計算されてる
・雪を降らすのは人力で、実演してくれた。


解説を聞いて、やっぱりこの物語ってトムの脳内世界というか白昼夢みたいなもので、弔辞を読むにあたって自分自身に向き合っている時間なんだなあと改めて確認した。
だから、トムから見えていたもの以外は絶対に描かれないし知り得ない。なんならトムというフィルターがかかった世界は、真実ではない可能性があって……
とか考えると迷宮入りしてしまうね。
でも、その世界の「わからなさ」をやさしく肯定してくれているのがこの作品の良さだと思うのです。
前回の公演はとある事情により感情がぐちゃぐちゃになりましたが……今回は素直に良い作品だなと思えました。