アバンで白丸先輩がスクーターで走る姿で始まる今回、中見元太と曲伊咲の天文部の活動がいろいろな人に支えられていると復習できた回。手始めは元太くんが一人でいた昼の天文台に白丸先輩、伊咲ちゃん、倉敷先生が続々集まる場面。しかもその短い時間で先輩と中見、元太くんと伊咲ちゃん、曲と先生の関係が的確に描かれてる。
 次は受川くんのバイト先。星空観測会のメイキング映像になっている今回、まずは生徒会役員でもある受川くんにポスター貼りの許可と、当日の人の誘導の相談から。こうして一つずつ準備の場面を描くこと、主催が学校の部活でもそれなりに大人数を巻き込む必要があると描写され、私好み。しかもこの場面名で提示された問題、すぐ行動に移す課題になり、脚本の見本になってる。
 すでに絵がうまいとアニメで示されてた美術部の野々三奈ちゃん、彼女と丸太くんと伊咲ちゅんのやり取りが今回の一番のギャグ。丸太くんも伊咲ちゃんも性格真面目だからコメディはあってもバカバカしいギャグにはなりにくいから、男子の上半身裸に赤面する二人の女子、見れて面白かったです。
 次に丸太くんがお願いしたのは蟹川モトコちゃんだけど、多分内容を言う前に「いーや」。だから後回しにして、友達だと「手伝って」は言いづらいと言った伊咲ちゃんに代わって丸太くんが訪ねた三人目は、ソフトボール部の穴水佳奈美ちゃゅんがいる学校のグラウンド。美術部の野々ちゃんの時とは違う、もう一つの青春の場面で。伊咲ちゃんとは違うけどやはり眩しさを、終わるのを待ってる丸太くんも気づいたと思われ。
 最後の場面はやっぱり当日の案内人を手伝うことになったモトコちゃんの家、お好み焼き屋での打ち合わせ。そこでご両親から語られるモトコちゃんの別の側面が、うちの店でよく手伝ってくれる親孝行の娘。しかもその前段で娘の欠点とその原因を語っているので、単なる親やバカでない所に好感し。「君ソム」はもちろん丸太くんと伊咲ちゃんの物語だけどその背後、二人が見えない所に広大な世界があると、インソムニアの二人が気づいた一話。
 しかし二人に「進展」がなかった訳でないのですね。結局野々ちゃん、モトコちゃん、穴水さんの協力を売ることが出来、伊咲ちゃんの丸太くんへの信頼はより強固に。映像になってる場面に限れば、まずは受川くんのバイト先の能登食祭市場からの帰り道、別れ際で伊咲ちゃんが丸太くんに言った意味深な台詞。

「私のことも撮ってね」
「私を残してね」

 また絵をお願いした野々ちゃんから逆に、モデルは丸太くんと伊咲ちゃんの二人一緒がいいとお願いされたことも、二人にとっては契機と推察。多分芸術家だから人の感情に機微なはずの野々ちゃん、伊咲ちゃんと丸太くんが両想いなことをどこかの時点で気づいたのでは。だからより親密にしてあげたく、二人でダンスしている構図を思いついたのでしょう。
 総じてテンポは淡々の割には情報と場面が豊富で絵的に贅沢な回でした。なので若干止め画が気になりましたが、最後の丸太くんと倉敷先生の会話でチャラになった形。