原作を買って改めて視聴。出版社が同じ小学館なこともあって、『タッチ』の最新版ともいえる本作、やっぱり私好み。個々の人物が象徴するものの解釈は後日にして、曲伊咲(まがりいさき)は浅倉南であり中見丸太は上杉達也と見えるところから。しかし元気な女の子が相手の男の子を引っ張るという関係は似てても、中見くんのキャラは上杉達也よりむしろ上杉和也に近い。髪型からも上杉達也に似てるのは受川くんの方だし。『ヤマノススメ』の雪村あおいも連載当初は陰キャだったし、『ぼっち・ざ・ろっく!』のぼっちちゃんは言わずもがな、今年三期が放送された『彼女、お借りします。』の木ノ下和也、今夜最終回の『星屑テレパス』の小ノ星海果もみんな陰キャ。私のマイブーム、陰キャが主人公の話らしく。
作風も風景と間、表情を大切にするあだちマンガを踏襲している「インソムニア」、一人の時の独白はあるが他人がいる時はモノローグが一切ない曲伊咲視点で論考を。天文台での(曲にとっては)ガール・ミーツ・ボーイの直後のその場で、中見を「こわくて嫌なやつだとずっとおもってた」と白状した。ここが曲を南ちゃんと私が考えるところで、予選大会が終われば鬼監督に対しても感謝の気持ちからも優しい態度に。多分曲も人は見かけによらないと改めて気づかされたはずで、この時点ではちょっとした秘密を共有できる仲間が出来たと思っただけのはず。
でも眠くなったはずみで身体を持たれかけてくれたままにしてくれたことで信頼し、鍵の番号を教え。しかし中見がなかなか天文台に来ないことにしびれを切らして話を向けたのが原作第二話の始まり。「ねむれないの治ったの?」と訊いてるけど曲自身、不眠症が簡単に治るものでないとわかってる。だから(多分)恋に発展する可能性を知りながら、もう一度天文台に来てくれるように中見を誘ったと。
そして天文台を開けて言ったのが「おもしろくしよう! 楽しくてもツラくっても、同じ朝がくるんだからね」。多分曲は中見くんのことを不眠症と戦う同志としてももちろんだけど、恋をしたいと思ったのでは。多分理由は先に挙げた得難いスキンシップ。でももう少し、少しずつでもいいから人当たりが良くなって欲しいと、仲良くしてる蟹川マコトちゃんが陰口してるのをしってるから、外を知ってもらおうと提案したのが夜のお散歩。
しかしその夜のお楽しみ会、信頼する中見くんに身の上話は最初からするつもりだったはずで、アニメでの演技っぽい話しぶりが効果的。どういう気持ちで話してるのかあからさま。でも警察官の自転車でのパトロールに見つからないようにかばってくれた時、動悸は意志でどうにもならないから、改めて恋人になる可能性を想像したと思うのですね。そして「じゃあまた今日!」という別れの挨拶。まったくもって羨ましい青春。しかしそれは不眠症を共に戦う同志への熱い信頼の証しであり、悲痛な叫びでもあるはずで。だからますますそんな同志のない私から見て、「この関係を大事にしねえと許さねえぞ」。