[4796]『ぼっち・ざ・ろっく!』 と『ヤマノススメ』 その3

 
 今週の立て続けの『ぼっち・ざ・ろっく』と『ヤマノススメ』の比較論、そもそもは以下のツイートで思いついたもので。
 

コバヤシ

@lastbreath0902

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そこは結構…時に致命的に大事な違いだと思う。 形式上も内実も、人格に優れる虹夏ちゃんが『面倒見てる』構図なんだけども、緊張から解き放たれたぼっちの悪魔的テクニックがそこを逆転してきた時、このきらら菩薩がどんな顔するか…俺はお前の”人間”がみてーんだよッ!

 
 

コバヤシ

@lastbreath0902

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先輩二人には手を引かれるばかりのぼっちが、喜多ちゃんという”生徒”を得てちょっと人間関係のバランス変わりそうなのも、面白い要素で。 ここにギターヒーロー真の実力が暴かれて、『ヤバいボッチを見守ってあげてる私』つう自我にヒビ入った時の、きらら菩薩の表情(かお)が見たいね、俺は。

 

 

 私は少し考え込んだのでした。コバヤシさんは『ヤマノススメ サードシーズン』のあおいとひなた、特にひなたの描写の「再来」を期待しているのでしょう。しかし前回までで示した通り、『ぼっち・ざ・ろっく』は『ヤマノススメ』と似すぎて違いすぎると思うのです。私には原作者のはじまあきも監督の斎藤圭一郎もアニメ化に尽力したけろりらも、『ヤマノススメ』を仮想敵の一つにしていると勘ぐっている。つまり伊地知虹夏というきらら菩薩の自我の危機は、倉上ひなたのような分かりやすい形にならないのでは? 今回は浅倉南を通して、二人の導き手を比較してみたい。
 南ちゃんは和也の死後の達也の野球部入部騒動に、当初は等閑視。しかしいざ入部となれば、タッちゃんを野球部になじませるために結構尽力。入部の挨拶で頭を下げさせたり、孝太郎くんに受けてもらうために策を弄したり。しかし二年生の夏の予選までは新体操との掛け持ちできたが、三年に上がっての柏葉英二郎の登場で、野球部については見守るだけの存在に。特に柏葉のしごきを「徹底的にしごしてもらおうじゃねえか」と認識していると分かった時、南は絶句を。以後、野球部のことは野球部に任す形。
 まずは『ヤマノススメ』から論じると、山は誘う方も誘われる方も、同じ行動ができる/(を)する分野。だから体力や知力の差が分かりやすく、ひなたにはあおいに追い抜かれる恐れもあったと思われ。その意味でもサードシーズンのギスギスは、私にとって心地よいもの。しかし言わばひなたの「闇」は、あおいを誘ったことから想像できる要素。
 しかし『ぼっち・ざ・ろっく』の虹夏ちゃんは、まだまだ底の知れないキャラクターではないのか? 早い話、リョウさんとともにあるはずの、業界での豊富な人脈と信用がライブハウス「STARRY」の他、描かれてないから。リョウさんはバンド解散の経緯で、ぼっちちゃんと私たち視聴者に自分の若さ/苦い過去を明かしてくれたけど。つまり私はきらら菩薩だけが虹夏ちゃんのパーソナリティ、『ぼっち・ざ・ろっく』での立場/役割とは考えてないのですね。今は以下のように勘繰るだけ。
 虹夏ちゃんはドラムスだから、テンポをつくる/とる担当と解釈でき。リョウさんのベースとともに、経験者は土台を担当し、新入りのぼっちちゃんと郁代ちゃんの「華」を引き立てる構図が結束バンドという考察。だから問題が生じるとすれば、ボーカルとギターが先走った時点。その時こそ虹夏ちゃんの手綱捌きが試されると思うけど、もしかしたらホワイトベース時代のブライトのように、アムロであるぼっちちゃんや郁代ちゃんを信じて着いていくかも。

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