[4774]マンガ『ヤマノススメ』⑭…しろ

 
「一合目」は小学生でのご来光の場面から高校初日に切り替わり、あおいとひなたの再会。すぐ後に教室から引っ張り出されるあおいで。有無を言わさずにひなたが向かう先は自分の家。向かう途中で一合目は終わり。明るく強引なひなたとぼっち気質のあおいの対比で、本作のテーマを明らかにした一話目。
「二合目」はひなたのお父さんが組み立てくれたテントにひなたとあおいが入り、あおいが誘いを受け入れるまでの話。しかし原作を読み、アニメでも確認して改めて思うのは、一連の展開は倉上父娘の「共謀」ではという疑念。テントの骨組みなんてひなたは見慣れてるはずだからボケるのは不自然だし、夕陽を見る時に手を握るのも、算段があっての行為と思える。

「あおい、覚えてなかったでしょ。私のこと」
「きれいだね、二人で見れて良かった。山はお父さんと行くよ」

 もちろん上記の台詞はひなたがその場で口に着いた言葉だったろうけど、お父さんと計画した「あおいの山ガール計画」の「はじめ」だったろうと思うのです。その場でOKしてくれるとは嬉しい誤算だったから、ひなたははしゃいだと考えられ。

「あんまり高い所じゃなければ。山、行ってもいい、かな」

 山に憧れた記憶を思い起こしたあおいは多分、あの頃の気持ちに帰りたいと思った。つまりひなたと再会するまで持っていた、ぼっち街道の継続を、あおい自身にも批判/否定する気持ちがあったのでは。つまり「自分を変えたい」という気持ち。だから強引で、振り回されるのが分かっているひなたと一緒に山という「外の世界」に、行ってみたいなと思ったと。
 本当に美しい、物語の始まり方と思うのですよ。
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